「子供を守る」思いを新た…楓ちゃん事件8年


YOMIURI ONLINE
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 奈良市で小学1年の有山楓ちゃん(当時7歳)が
誘拐、殺害された事件から17日で8年が巡った。
当時の捜査員や学校関係者らは、
「子供たちは地域で守っていく」という思いを新たにした。
一方、専門家の調査では、
楓ちゃんが通った富雄北小の保護者らが通学路で続ける
「見守り活動」が、着実に成果を上げていることがわかった。

当時の捜査1課長「犯罪減った」


 当時、県警捜査1課長として捜査を指揮した
葛本英治さん(63)は、地元の橿原市で
子供たちの見守り活動を続けている。

 週末、約140世帯が暮らす町内を2007年に結成した
「防犯パトロール隊」の仲間と歩き、
09年に作った「青色パトロール隊」のメンバーと
自家用車に青色灯をつけて巡回する。
「疲れている時も楓ちゃんの笑顔が頭に浮かび、
『今日も頑張ろう』という気持ちが湧いてくるんです」と話す。

 事件が起きてから1か月半、
「犯人を捕まえ、楓ちゃんや家族の無念を晴らす。
それができるのは警察官しかいない」と
捜査員約150人を鼓舞し続けた。

 04年12月30日、小林薫死刑囚(43)を逮捕したが、
「地域全体で子供たちを守らなければ」と痛感した。

 葛本さんは「活動を始めてから地域の犯罪は、
確実に少なくなった。
子供たちが公園で思う存分遊ぶ姿を見ると、
うれしくなります」と語る。

 17日は、遺体が見つかった平群町の現場で手を合わせ、
線香を手向けた。
「天国で見守っていてほしい。もう二度と、
同じ事件は起こさせないから」

児童ら「安心感じる」

 富雄北小の保護者らが続ける児童の
「見守り活動」について、奈良女子大の
瀬渡章子教授(住環境学)らが
子供たちに意識調査を行ったところ、
「登下校中に怖い思いをしたことがある」と答えたのは4・9%と、
近隣2小学校(21・2~22・7%)の
4分の1以下にとどまり、活動の成果を裏付けた。

 調査は、瀬渡教授と中迫由実・博士研究員が
昨年11~12月、3校の5、6年計606人を対象に実施し、
90・9%にあたる551人から回答を得た。

 登下校について、富雄北小児童の91・4%は
「ボランティアに見守られて安心」と答えた。
また、76・1%が「別の学年と仲良くできる」と答え、
ほかの2校より15~19・8ポイント高かった。

 このほか、同小の保護者379人にも、08年に続いて調査。
93・4%が「安心を感じる」、
84・2%が「抑止効果に期待している」と評価する一方で、
見守り活動を負担に感じる保護者は前回の
2倍の61・2%に上ったといい、
「今後も活動を続けていくためには
保護者の負担軽減が課題となる」と指摘している。

当時の校長「大人が守らなければ」

 奈良市の市中部公民館であった
「子ども安全の日の集い」では、
参加した約250人全員が黙とうしたあと、
当時校長だった楳田勝也さん(67)が講演。
「犯人が逮捕されるまで児童の元気な声が聞こえなくなった。
犯人に、どこからか見られているような不安があった」
と8年前を振り返り、
「子供に自衛力をつけさせることも大事だが、
やはり大人が見守っていかなければ」と訴えた。

 見守り活動を始めて3年という同市法蓮町の
主婦頼田尭子さん(76)は
「児童に『おはよう』と声をかけるだけですが、
これからも続けていきたい」と話した。
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