鉄道高架下 活用の動き


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 駅に近い鉄道の高架下を集会場や展示場、保育所などに
利用する動きが県内で広がっている。
高架下の土地を所有する鉄道事業者が、
利便性の高さから地元自治体や地域住民と連携して
有効活用を図っているのが特徴だ。
特に待機児童問題を抱える横浜、川崎両市では
保育所の新たな立地場所として大きな期待をかけている。
(藤亮平)

 京浜急行日ノ出町駅(横浜市中区)から歩いて3分ほどの
高架下に、折れ曲がった屋根やガラス張りの壁が印象的な
イベントスペース4棟が立ち並んでいる。
昨年8月から今年10月にかけて相次いでオープン。
現在は、周辺で開催中の芸術イベント「黄金町バザール」の
メーン会場に利用されている。

 先月28日の日曜日には、各棟に地元商店会の出店などが並んだ。
天井からは時折、電車の通過する音が響くが、
買い物客らは気にする様子もなく、
店を出していた洋服店「GOOD DAYS」経営、
池辺宜紀さん(31)は
「お客さんと会話していても、
電車の音は全く気にならない」と話した。

 4棟の建設は、2010年から京急と地域住民らが
街づくりの一環として協議。
人々が高架下を行き来する際の障害にならないように
集会場やギャラリーとしての利用が決まった。
今後も地域の活性化に向け、様々なイベントに活用される予定だ。

 一方、待機児童問題を抱える横浜、川崎両市では、
高架下を保育所として利用する計画が相次いでいる。
民間保育所の増設で問題の解消を目指している両市は
「利便性が高く、園庭まで確保できる土地は貴重」(横浜市)などと、
駅周辺や沿線に土地を所有する
鉄道事業者の協力に期待をかけている。
高架下の保育所でも、電車の音や振動はほとんど気にならず、
幼児が昼寝から起きてしまうこともないという。

 横浜市には現在、京急上大岡駅(港南区)と
相鉄いずみ中央駅(泉区)近くの高架下に各1か所、
認可保育所がある。
来年4月には京急黄金町駅やJR石川町駅付近などの
高架下に計3か所、認可保育所が新設される予定で、
JR東日本は、今後予定している関内駅北口の
改修工事に合わせ、同駅でも保育施設の整備を検討している。

 鉄道事業者に建設費用の一部を補助している川崎市では、
昨年から今年にかけて東急電鉄やJRの高架下に
計4か所の認可保育所がオープンした。
市保育所整備推進担当は「用地確保が難しい中、
鉄道事業者の土地であれば、
長期的な保育所運営が可能」と説明している。

 交通計画を研究している早大創造理工学部の
浅野光行教授(69)は、
「高架下用地に公共性の高い施設を整備することは、
自治体だけでなく、鉄道事業者にとっても
沿線価値を高めるメリットがあり、
今後も利用が拡大していくのではないか」と話している。
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