【西日本】学童保育も待機児童増加 高まり続けるニーズ 施設整備追いつかず 潜在的には50万人?


西日本新聞
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 待機児童の問題は保育所だけではない。
共働きやひとり親家庭の小学生を預かる
放課後児童クラブ(学童保育)でも7500人を超え、
5年ぶりに増加に転じたことを厚生労働省が発表した。
全国学童保育連絡協議会(東京)は、
そもそも学童保育のない地域もあり、
潜在的には50万人に上ると推定している。
施設が整備されても、新たな需要が掘り起こされて
ニーズが追いつかない実情もある。

 室内にびっしりと並ぶ長机。
足を伸ばすスペースがないため、子どもは正座が基本だ。
荷物は棚の上にまであふれ、
通路は2人が擦れ違うのがやっと…。

 鹿児島市の広木小学校に近接する広木児童クラブ。
ここ数年、利用希望者が急増し、
定員の55人を上回るようになった。
今年は4月時点で待機児童が16人。
下校時刻が早い低学年を優先して56人を受け入れているが、
1人当たりの生活空間は1・14平方メートルしかなく、
国がガイドラインで定めている
「1・65平方メートル以上」を下回った。

 ■土地がなく

 市は広木小の空き教室を改装し、
来春から第2クラブの開設を決めた。
主任指導員の小屋敷正子さん(60)は
「入りたいという子をこれまで涙ながらに断っていた。
本当に良かった」とほっとした表情を見せた。

 ただ、新しく作りたくても、都市部では土地の確保が難しい。
同じ市内の田上児童クラブは3年前に開設され、
専用施設も一昨年に完成したばかり。
ところが予想を大幅に超える児童が集まり、
4月に13人の待機児童が出てしまった。

 新クラブ開設に向け、クラブ運営委員会で
会長を務める岩下國雄さん(76)は自ら物件を探し、
校内に空き教室がないか点検したが見つからなかった。
「不景気の今、子どもを預けられるなら
働きたいという親は多い」と岩下さん。
市は「学校側にも協力してもらい、
何とか新施設を整備したい」としている。

 ■「小1の壁」

 厚労省によると、今年5月現在、
学童保育の施設数は2万1085カ所、
利用児童数は85万1949人でともに過去最多。
この10年間で施設数は約8千カ所(1・6倍)、
児童数は約35万人(1・7倍)増えた。
共働き・ひとり親世帯の増加に加え、
子どもを狙った犯罪が目立つようになり、
安心して遊べる場所が少なくなっているのも要因だ。

 全国学童保育連絡協議会によると、
学童保育には保育所を卒園した子の
6割弱しか入所できていないという。
預け先が見つからず、小学校入学を機に
仕事との両立が難しくなる「小1の壁」に直面する親も多い。
事務局次長の真田祐さんは
「学区内にクラブがない地域や
定員を超えて受け入れているクラブもあり、
数字は氷山の一角でしかない」と指摘する。

 ■2階建てに

 待機児童の解消に向け、てこ入れをした自治体もある。
北九州市は2008年度から3年間で26億円をかけ、
全小学校区にクラブを整備した。
低学年の留守家庭に限らず、
希望する全児童が利用できるのが特長だ。
利用児童の増加にも対応できるように、
2階建ての施設を整備。学校や施設ときめ細かく情報交換し、
70人を超えると見込まれる場合、
すぐに分園する形で施設を増やしてきた。

 八幡西区の「けやき児童クラブ」は5月から分園した。
使っていなかった2階を高学年、
1階は低学年が主に利用するが、運営形態は変わらない。
事務局次長の高石まゆみさん(43)は
「予算が増えたので指導員を増やすこともでき、
子どもにきちんと目が届くようになった」と話している。
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