子ども中心に広がり 呼吸器感染症


東京新聞
------------------------------------------------
 マイコプラズマ肺炎やRSウイルス感染症など、
子どもがかかりやすく、重症化しやすい呼吸器の
感染症の報告が増えている。共に冬が流行期。
それぞれの現状と注意点を専門家に聞いた。 (佐橋大)


◆マイコプラズマ肺炎 「耐性株」増加の傾向


 マイコプラズマ肺炎は、微生物の一種による感染症。
発熱やだるさの初期症状があり、
咳(せき)が出始め、長く続く。
悪化して胸水がたまることがあり、
中耳炎や髄膜炎を起こすことも。

 国立感染症研究所には、昨年夏ごろから感染報告が増加。
感染の中心は幼保育園児や小中学生で、
この年代の子どもと接する機会が多い
二十~三十代の感染報告も多い。
関東、東海、東北地方で増えている。
安井良則主任研究官は
「冬にかけてさらに拡大が予想される」と注意を呼び掛ける。

 マイコプラズマは、咳やくしゃみのしぶき、
しぶきのついた手、おもちゃなどを介して広がる。
マスク着用など「咳エチケット」の徹底や
手洗いが感染防止に有効だ。

 マイコプラズマには従来、
タンパク質の合成を妨げる「マクロライド系」と呼ばれる
抗菌薬が主に使われてきた。
だが、この種の薬が効かない「耐性株」が
増えていることが確認されており、
マイコプラズマ増加の一因とみられる。

 その場合、副作用に注意しながら
別の種類の抗菌薬に切り替えて治療する。
ただ、安井さんは「治るまでの期間も、
他人へうつす可能性がある期間も長くなり、
感染が広がりやすくなる恐れがある」と指摘する。




◆RSウイルス 乳児は重症化注意

 RSウイルス感染症は、年齢を問わずにかかり、
乳児で重症化しやすい。
国立感染症研究所への感染報告数は
今年、過去最多だが、安井さんは
「実際に患者数が増えているかは不明」と慎重な見方を示す。

 RSウイルス感染の有無を調べる診断キットは、
昨年九月まで入院患者に限定して保険が適用されていた。
このため、外来では感染の確定診断をせず、
治療をする場合が多かった。

 昨年十月中旬以降、外来の一歳未満児にも
保険適用が拡大。
さらにRSウイルス感染症の報道が増えたことで、
医師や保護者の関心が高まり、
以前より積極的に診断する傾向があるとみられる。

 ただ、「例年なら十月ごろから始まる流行が、
七月ごろに早まっている」と安井さん。
関東や九州地方での感染報告が多く、
中部地方も増える傾向にあるという。

 RSウイルスは、二歳までにほぼ全員が感染し、
以後、再感染を繰り返す。
二回目以降は熱や咳、鼻水などの症状で、
風邪と認識される程度で済むことが多い。

 だが、初めて感染する乳児は、
炎症が喉より下に広がることが多く、
肺炎や気管支炎を引き起こす。
乳児では感染者の1~3%が重症化するといわれ、
気管支がたんでふさがれ、
肺に空気が入らなくなる「無気肺」や、
突然死につながる「無呼吸」に至ることも。
年間二万人が入院し、特に生後三カ月未満で、
重症化や入院の危険性が高い。

 ウイルスに直接作用する薬はなく、
たんを切りやすくしたり、
気道を広げたりする薬などで症状を軽くして、
体力の回復を待つ。

 軽症の大人や、上の子がRSウイルスに
感染していると気付かずに乳児に接触し、
感染させてしまうことも。
安井さんは「乳児のいる家庭は流行地域に関心を持ち、
咳などの症状がある人に乳児をあまり近づかせないで」
とアドバイスする。
------------------------------------------------
保育士新卒 保育士転職