子どもの笑顔乗せ快走


朝日新聞
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【「新幹線」や「SL」製造の衣浦鉄道倶楽部】

●「本物」再現、全国飛び回る

 子どもたちを乗せて軽快に走る大型鉄道模型。
愛知県内の愛好家ら約20人でつくる「衣浦鉄道倶楽部」は、
三河地方を中心に活動を続けている。
懐かしいSLから新幹線、
人気の「きかんしゃトーマス」のキャラクターまで、
本物そっくりに再現された模型には
遊び心と精巧な技術が詰まっている。
 刈谷市高須町の「フローラルガーデンよさみ」で
毎月第1日曜日にある「運転会」。
愛好家が自慢の鉄道模型を持ち寄り、
全長約250メートルの線路を走らせる。
 碧南市浜田町3丁目の杉浦幼治さん(61)もその1人。
自営で自動車部品の金型をつくる仕事の傍ら、
30年近く前から大型模型の製造に励んでいる。
 杉浦さんは、兄の影響もあり、
小学生の頃から鉄道模型に夢中だった。
日本で主流のNゲージ(レール幅9ミリ)や、
HOゲージ(同16・5ミリ)でよく遊んでいたという。
「子どもの電車のおもちゃを見て、
また作ってみようと思った」と、
模型作りを始めたきっかけを振り返る。
 「衣浦車両製作所浜田工場」と名付けた自宅の工房には、
フライス盤や旋盤などの工作機械が並ぶ。
「社長兼工場長」は杉浦さん。もちろん、従業員はいない。
「資本金」は小遣いの範囲内だ。
 車両の製造は本物を参考に図面を書くところから始まる。
車輪などの部品は鋳物工場などに発注する。
1台の模型が完成するのに3、4年はかかるという。
100円ショップで購入した鍋やコショウを入れる缶などを
加工して使うこともある。
 車体はレールの幅に合わせて縮尺も異なり、
細部まで本物そっくりに仕上げることにこだわる。
製作工程はインターネットのホームページで公開している。
仲間同士で情報を交換し、互いに技術を磨き合う。
 杉浦さんが所属する衣浦鉄道倶楽部は1999年に発足した。
模型愛好家ら30人余りが、
碧南市の明石公園内に専用の線路を設置して活動を始めた。
 しかし、公園内に大型遊具が建設されることになり、
2007年、活動の拠点を失った。
 その後、仮設線路での運転会や模型の展示会などを
続けてきたが、今年4月でいったん倶楽部を解散。
有志を募って再スタートした。
会員の自発的な活動が中心で、
仲間同士の交流の輪を広げながら、
模型を走らせる場所を求めている。
 杉浦さんは「フローラルガーデンよさみ」と、
新城市作手清岳にある道の駅で毎月1回ずつ、
鉄道模型を走らせている。
全国各地で開かれる運転会などにも出かけ、
子どもたちを喜ばせている。
 「作る楽しさ、達成感がたまらない。
自分の模型に乗った子どもたちの笑顔を見ていると、
また作りたくなる」(松永佳伸)
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