避難子どもに学習室 被災者自立 アシスト


東京新聞
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 東日本大震災で被災地から県内に避難した人たちに、
息の長い支援が必要になっている。
道のりが遠い復興、福島第一原発事故による
放射性物質への不安があるなど、
長期にわたって自宅に戻れないためで、
中には「故郷には戻らない」という避難者も。
支援団体の事業は「自立支援」へとシフトしている。
 (志村彰太)

 今月下旬、横浜市西区にあるビルの一室では、
福島県や宮城県から避難した小学生~高校生八人が、
熱心に鉛筆を走らせていた。
大学生がボランティアで講師を務め、
迫る受験へ向けた即席の「教室」は熱を帯びていた。

 この「よこはま学習室」を開いているのは、
元川崎市職員で慶応大メディアデザイン研究所の研究員、
鈴木健大(たけひろ)さん(43)=藤沢市。
昨年四月、避難所だったとどろきアリーナ(川崎市中原区)に
ボランティアで出向いた際、学習支援の必要性を感じた。

 すぐに慶応大の学生を募って、アリーナの一室で「塾」を開くと、
大勢の子どもが集まった。
ストレスを感じている子が多く、
勉強よりも遊び相手になることが多かったが、
鈴木さんは「子どもたちは、
週一回の教室を楽しみにしていた」と振り返る。
その後、場所を中原区の別の場所に移し、
横浜にも拠点を設けた。
今はいずれの教室でも週二回、無料で勉強を教えている。

 創設当初から講師を務める慶応大三年の
伊藤光大(みつひろ)さん(21)=東京都町田市=は
「最初、子どもたちは津波の絵を描いたり、
『地震ごっこ』をしたり。衝撃を受けた」と語る。
「心のケアまではできないけど、
子どもが少しでも過ごしやすい空間をつくりたい」
と考えるようになった。

 昨年度は、二人が高校受験で志望校に合格し、
現在も教室に通う。
生徒は二十五人、ボランティアの大学生は六十四人。
生徒は徐々に増えている。

 福島県葛尾村から横浜市瀬谷区に避難し、
十月から通い始めた松木早耶香さん(15)は
「ここには同郷の人がいて落ち着く」と話す。
震災後、父は横浜で別の仕事に就き、
しばらくは横浜にとどまるつもりだという。

 鈴木さんは三月、支援に全力を注ぐため、
川崎市職員を辞めた。
「子どもたちは、こっちの生活になじむことが必要」と語る。
ほかの大学からも有志を集め、
動物園や大学の学園祭に連れて行くなどした。
学校生活に慣れず、部活に入れない子どももおり、
来年にはダンス部やフットサル部を塾内に創設する。

 鈴木さんは「生徒も大学生も支え合って、
子どもの将来を真剣に考えてほしい」と願う。
資金難が課題だが、「子どもが目標を見つけて
巣立っていくまでは続けたい」と話している。

 鈴木さんは、子どもたちの参考書を購入するため、
図書カードの寄贈を呼び掛けている。
問い合わせは=電080(5645)6924=へ。
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