中高一貫教育校は「併設型」が主流に ‐渡辺敦司‐


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小学4、5年生の子どもを持つ保護者の中には、
卒業後の進学先を中学校にするか、
中高一貫校を選ぼうかと悩んでいるかたも
いらっしゃることでしょう。
一方で「家からは通えない」「経済的に無理」
と思うかたも少なくないかもしれません。
文部科学省の調査(外部のPDFにリンク)によると、
2012(平成24)年度の「中高一貫教育校」は
前年度比21校増の441校になりました。
国の整備目標である500校まであと少しです。
しかし、その内実はどうなのでしょうか。

ところで、ここで言う「中高一貫教育校」とは、
以前にも解説したように、国の制度にのっとった
学校に限定しています。
私立に多い、制度上は別々の学校でありながら
実態として中学校と高校を一体的に運営している
「中高一貫校」は入りません。しかし
私立の「中高一貫校」の中には
都道府県に届け出て正式な「中高一貫教育校」
になる学校もありますし、
中には「中高一貫校」にとどまりながら
私学の自主性を発揮して実態的には「中高一貫教育校」と
ほとんど変わらない教育を行っている学校も少なくない
……というから、ややこしいところです。

国が「500校」という整備目標を掲げたのは、
「通学範囲」に1校はあるようにしよう、
という考えによるものでした。
もともと中高一貫教育校は、
子どもや保護者の選択の幅を広げようと
導入されたものだからです。
調査によると中高一貫教育校441校の内訳は、
中等教育学校49校、併設型309校、連携型83校で、
併設型が21校増えたものの、
中等教育学校と連携型は前年度と変わりません。
既に2013(平成25)年度以降の設置が決まっている
学校の数を見ても、中等教育学校2校、
併設型16校、連携型1校となっていますから、
設置校数の上でも増え方からも、
併設型が中高一貫教育校の
主流になっているとみてよいでしょう。
ところが2012(平成24)年度の併設型309校について
国公私立別の内訳を見てみると、
国立が前年度と同じ1校、公立が5校増の74校、
私立が16校増の234校と、増えた校数、設置校数ともに
多くは私立であることがわかります。
併設型で私立が占める割合は76%に上ります。
「中高一貫校」が正式に届け出て「中高一貫教育校」になった、
という学校が大半だとみられます。
また中高一貫教育校全体でも、
私立の占める割合は57%です。
そう考えていくと、子どもの側からすれば、
あまり「選択の幅」が広がっているとは
言えないかもしれません。

整備が進まない要因として、中央教育審議会の
作業部会は2011(平成23)年7月の段階で、
▽少子化で公立高校の数自体が徐々に減っている
▽実際上、中高一貫教育を行っている
私学にとってはメリットがなく、
手続きも面倒と思われている……などと分析していました。
一方で同部会は、生徒や保護者のニーズは
「非常に高まって」いると指摘し、
量的充実を求めています。
依然として地域全体にとっての大きな課題でしょう。
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