保育所の面接基準緩和条例案、現場は慎重論も 千葉


朝日新聞
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 認可保育所を新設・改築する際の子ども1人あたりの
面積基準を緩和する千葉県の条例案が
開会中の県議会で審議されている。
待機児童を減らすための現実策だが、
保育所側は「保育環境が悪くなる」と
現行基準の継続を求める声が強い。

 「あーむ。もぐもぐ。おいしいね」。
市川市北部の私立保育園。
0歳児の乳児室で昼食を食べ終えた子が
元気にハイハイを始めた。
保育士の女性は「よく動くようになって、
今でも狭いと感じることがある。
スペースがもっと狭くなれば、
危険な場面が生じかねないのでは」と気をもむ。

 県のこれまでの基準に従って、
子ども1人あたりの面積を国の
最低基準(1.65平方メートル)より広くとっている。
保育室以外にも遊戯室を設ける。
待機児童対策の弾力運用で定員60人を上回る
75人を受け入れているが、
園長は「子どもの遊びが保障される広さが必要」と話す。

    ◇

 保育所の設置基準は、児童福祉法に基づき
厚生労働省令で規定されてきた。
これに対し、県は「良好な保育環境を保つ」という理由で、
約35年前から独自基準を設け、
国基準の1.5~3倍の面積を求めている。

 具体的には、県内(千葉市を除く)で
保育所を新設・改築する場合、
0歳児用の乳児室とハイハイを始めた
0~1歳児のほふく室は1人あたり4.95平方メートル以上、
2歳児以上の保育室・遊戯室は
同じく3平方メートル以上が必要だ。

 今回、県が出した条例案では、
それぞれ3.3平方メートル以上、
1.98平方メートル以上に狭まる。
入所を希望しても入れない待機児童の問題が
解消されないためだ。

 県内の待機児童数は昨年10月現在、国基準で2479人。
ここ数年、横ばい状態が続く。
このため、待機児童が多い地域では、
国の最低基準と同じレベルまで受け入れを認めている。
県児童家庭課によると、0歳以上の保育室では、
県内550の認可保育所のうち約300施設に及ぶ。
同課の担当者は「子どもにとって広い面積がいいのは常識だが、
待機児童を増やしては意味がない」と話す。

    ◇

 だが、保育所の認可権限がある中核市として
条例化を義務づけられた船橋市は、
12月市議会に提出した条例案で、
これまでの県の基準を維持した。
シミュレーションをした結果、
国基準では不十分だと判断したという。

 船橋市にも昨年10月の段階で367人の待機児童がいる。
定員を超えて受け入れる場合は
県条例案レベルに引き下げた面積を適用できるよう
「経過措置」を設ける。

 一方、柏市は、県と同じ基準の条例案を作ったが、
新築や建て替えの際は、新たにつくる市の
指導要綱で従来の面積を確保する方針だ。

 県は条例化に合わせて、市町村が
独自の指針を作るよう促していくという。
「県内でも、待機児童が深刻な自治体から
余裕がある自治体まで幅広い。
あくまでも県条例は最低基準と考え、
地域の実情にあった基準をつくってもらいたい」
(県児童家庭課)(永井啓子、重政紀元)
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