高齢者の心の支えは配偶者と子供(高齢社会白書(2012年版))


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  内閣府は2012年6月7日、
2012年版の高齢社会白書を発表した。
日本の高齢化の現状や将来予想をまとめたもので、
日本の社会情勢を推し量る重要な資料を多数盛り込んだ、
注視すべき白書の一つである。
今回はその中から「高齢者にとって心の支えとなる人物」
について見ていくことにする(【高齢社会白書(2012年版)】)。

次のグラフは2010年に行われた、
「高齢者の生活と意識に関する国際比較調査」によるもので、
60歳以上の男女を対象にしている。
日本において高齢者の心の支えになる
人物を挙げてもらったものだが、
高回答率を示したのは「配偶者・パートナー」と「子供」。
この2項目のみ過半数を超えている。

  ドラマや漫画の描写、さらには実体験で
「老夫婦が孫を可愛がる」情景はよく見かけるが、
「孫」との回答は2割にも満たない。
愛おしく思う対象ではあるものの、
心の支えとはまた違った感覚のようだ。

  同じ質問を主要5か国、
具体的には日本以外に韓国・アメリカ・ドイツ・スウェーデンにおいて行い、
その回答を併記したのが次の図。

  「配偶者・パートナー」と「子供」が支えになるという点では
どの国でも同じだが、例えば韓国では
それ以外への依存心が非常に低い、
逆にアメリカは他の人達も大いに心の支えになるなど、
国ごとの違いがはっきりと表れており興味深い。
日本スウェーデンのパターンに近いが、
配偶者・子供以外の回答率が低めに抑えられている。

  これの切り口を変え、項目をベースとした視点で見ると、
各人物に対する国による
依存の度合いがはっきりと見えてくる。

  ある意味もっとも身近な「配偶者・パートナー」は
アメリカが一番低く、逆に「子供」は一番高い。
その他にもアメリカは配偶者以外の
全項目で最高値を示しており、
心の支えの対象にする人が「身近にいる人全部」的な
感が強いのがあらためて確認できる。
韓国はその逆で「ごく身近な身内以外は当てにならない」
との想いがあるようだ。

  どれだけ自分の周囲の人物が当てになるかは、
個々の周辺環境以外に、各国の国の社会福祉制度、
社会的慣習、宗教的な概念など多種多様の項目で判断される。
どの国の状態が良い悪いという判断はできないが、
「心の支えとして認識できるほど、
普段から親密な付き合いをする習慣がある」と考えれば、
アメリカのような「歳を取っても
心の支えとなる人が多方面に存在する」という状態は、
うらやましい話なのかもしれない。
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