ダウン症:理解深めて 子どもたちとウオーキング開催


毎日jp
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 妊婦の血液から胎児の染色体異常を調べる
「新型出生前診断」は、日本産科婦人科学会が
15日に診断の指針を公表し、近く検査がスタートする。
そんな中、検査対象となる染色体異常の一つ、
ダウン症の子どもたちと一緒にウオーキングする
チャリティーイベント「バディウォーク」が
11月、東京・代々木公園で開かれた。
参加者からは、子どもを持つことや出生前診断への思いなど、
さまざまな声が上がった。【五味香織、斎藤広子】

 ◇元気な姿「隠す必要ない」 新型出生前診断、複雑な声も

 イベントはNPO法人アクセプションズ(東京都江東区)が企画。
「障害がある人の存在を身近に感じ、
理解を深めてほしい」という思いからだった。
約250人が参加し、歌を歌いながら歩くなど、
元気な姿を見せた。

 東京都文京区の女性(38)は、
夫と娘2人の家族4人で参加した。
2歳の次女がダウン症だが
「ずっと2人目の子どもがほしかった。
命は授かりもの」と我が子を見つめた。
「とにかく元気でいることがすべて。
『こんなことができるんだ』という驚きの連続です」

 ダウン症の6歳の長女を含む家族4人で参加した
江東区の会社員、三井慶之さん(47)夫婦は、
長女が生まれてしばらくは、外出時に周囲の目が気になった。
ダウン症は顔立ちの特徴から、周囲が気づきやすいためだ。
でも今は「隠す必要はない」と、気にせず出かけている。
今回のイベントも、開催を知ってすぐに参加を決めた。

 親たちは新型出生前診断をどう考えているのか。
生後6カ月の三女がダウン症という
横浜市港北区の経営コンサルタント、近藤寛子さん(41)は
「(妊娠中に障害が)分かってもどうするつもりもなかったので、
出生前診断を受けようとは思わなかった」と語る。

 新型出生前診断は、採血だけで手軽に検査できる半面、
検査の精度や、妊婦のサポート態勢などに課題がある。
「英国や米国は障害者への生活支援体制が整っている。
医療関係者だけにサポート役を負わせるのは
無理なのでは」と近藤さん。
夫の智洋さん(41)は「検査結果が陽性だと
出産を諦める人が大半と聞くが、
ダウン症の実態を知ってから決めてほしい」と語った。

 イベントを見ていた東京都新宿区の
会社員、田崎茉莉花さん(23)は
「障害のある人も身近な存在だと伝えることは意味がある」と語った。
大学時代、講義で受精卵の段階で
異常の有無を調べることを議論したが、結論は出なかった。
「命を選ぶのは道徳的におかしいけれど、
自分が親の立場になったら、どんな気持ちになるか分からない」と、
複雑な表情だった。

 ◇穏やか、感受性豊か


 ダウン症は1866年、
英国の医師ジョン・ラングドン・ダウン博士によって報告された。
通常2本ずつ23対ある染色体のうち、
21番目が3本あることで起きる。
800〜1000人に1人程度の割合で生まれ、
染色体異常の中で最も頻度が高い。
突然変異で誰にでも起こり得る。

 知的障害を伴い、合併症として3〜5割に心臓病、
2〜4割に聴力障害があるという。
妊娠中に羊水を採取する検査などで調べられるが、
生後の血液検査で確定診断される例が多い。
平均寿命は60歳程度。現在、根本的な治療法はない。

 埼玉県立小児医療センター(さいたま市岩槻区)は
89年から月1回、ダウン症の乳児と保護者に
発達支援の方法や福祉情報を提供する「DK外来」を開き、
毎回計約80人が参加しているという。

 同センター遺伝科の大橋博文医師によると、
ダウン症の子どもたちは、個人差は大きいものの、
一般に通常の2倍くらいの時間をかけて発達する。
大橋医師は「ダウン症の子は気持ちを
積極的に表すのが苦手なことが多いが、性
格的に穏やかで感受性が豊か。
家族から愛され、大切にされている子が多い」と話している。
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