震災で止まった幼稚園の古時計、来月再び時刻む 「復興願い防災の象徴に」/鎌倉


カナロコ
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 東日本大震災で止まった鎌倉市大町の
比企谷(ひきがやつ)幼稚園の古時計が
12月1日、再び時を刻む。
卒園生が技師を探し出し、修理した。
8日に開かれる開園75周年の記念式典に間に合った。

 74期生の卒園式を翌日に控えた2011年3月11日、
妙本寺支院の境内に建てられた八角堂の園舎を激震が襲った。
副園長の片山由喜子さん(53)は
「総門が崩れそうなほどだった」。

 園児は幸い帰宅していた。
停電が明けると、園舎ホールの舞台脇に掛けられた時計は
止まっていた。3時38分を指していた。

 1937年の開園記念に贈られた
鉄製の直径60センチ余りの円形時計。
戦禍もくぐったが、未曽有の震災には耐えられなかった。
100ボルトの電気式で、回路が壊れたようだ。
類似の電波時計に掛け替えられた。

 園長の中村邦彦さん(74)は製造元に修理を頼んだが、
旧式モーターは劣化が進み、発火の恐れから断られた。
倉庫にしまわれた。

 修理先を探し続けていた14期生の
高田城さん(67)=東京都文京区=が10月、
十数店目でようやく古時計を専門に扱う技師を見つけ出した。
コードを外して単2形の電池式に改修。
文字盤のさびを取って1カ月後によみがえった。

 74年間、休まずに時を刻み続け、
1日にわずかにずれる分針を職員が調整して使い続けた。
高田さんは塗装がはげた文字盤、
小粋なゴシック体の数字に往時を思う。
「思い出も刻んでくれた」

 12月1日に掛け替えられ、75人の園児にお披露目される。
片山さんが作詞した「大きな古時計」の替え歌で祝う。

 ♪もう駄目と諦めたとき 奇跡が起こった
 修理の達人現れて 時計を直したのさ
 中村さんは「被災地の復興を願い、
防災の心得を喚起する象徴にしたい」と話した。
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