教育のIT化にともない浮かび上がる課題


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電子黒板やタブレット端末を使った授業が
全国の小中学校で実験的に始まっている。
インターネット環境の整備などにより、
教育業界で広くIT化が普及している。
この背景には技術革新によって、
次々と教育用のデジタル機器の開発がされたことが主な要因だ。
これにより文字だけでなく、
音声や映像も駆使して臨場感のある授業ができるようになった。
加えて「クラウドコンピューティング技術」の普及で、
様々な教育コンテンツやサービスをネットを通じて
手軽に利用できるようになったことも考えられる。

海外では既に教育現場のIT化がいち早く進んでいる。
英国は1999年から10年かけて教育現場の
IT整備に約1兆3000億円を投入し、
8~9割の小中学校の教室に電子黒板が導入されている。
韓国は2013年には全国の小学校で
デジタル教科書を導入する目標を政府主導で打ち出す。

日本では総務省が10年度から順次、
全国18の小中学校で電子黒板やタブレット端末を使った
授業を実験的に導入。
11年に文部科学省が中心となり、「教育の情報化ビジョン」を策定。
20年に生徒1人に1台の情報端末を
配備することを目標を掲げる。

このような動きの中、急成長が見込まれるのが
「電子黒板」と言われている。
調査会社シード・プランニングによれば、
電子黒板の世界市場は16年に1兆800億円と
11年の2.8倍に拡大する見込み。
日本は普通教室あたりの整備率が3月時点で
まだ約16%と伸びしろが大きいため、
パナソニック、シャープなどテレビメーカーも同分野に参入している。
「電子黒板」は手書きで文字や図形を描くのはもちろんのこと、
ネットを通じて動画、グラフなどの素材を取り込むことも出来る。
また、板書内容を保存して繰り返し使える機能も搭載している。

日立製作所の子会社の日立ソリューションズは、
電子黒板の世界シェア3位。
1998年に日米欧で発売し、現在は世界71カ国で販売。
累計22万台の販売実績がある。
同社は国内では09年から販売を本格化しました。
今年5月には普通の黒板に、
スライド式で電子黒板を取り付けられるタイプも発売。
10月には生徒がタブレット端末に書き込んだ内容を
電子黒板で共有できるソフトも投入し、
年間で2000台以上を販売する計画。

タブレット端末は、情報端末の大本命と言えるだろう。
米アップルの「iPad」のほか、
「ウィンドウズ8」を搭載したキーボードを取り外せるタイプの
ノートパソコンなど各社が様々な製品を発表している。
ただ現段階では教育向けに特化した製品は少ない。
こうした中、内田洋行はタブレット端末などで、
生徒が手書きのノートのように文字や図形を
自由に書き込めるアプリケーションを開発した。
図形を多用する理科や算数の授業で威力を発揮。
書き込んだ内容を電子黒板に表示し、
複数の生徒で比較することも可能。
今後2年間で600校への導入を目指す。

大容量データを送受信するための通信環境の整備も欠かせない。
NTTグループは大学の研究者や教育事業者と連携して
「教育クラウド」の構築に向けた実証実験を始めた。
全国の公立小中学校10校を対象に、
電子黒板やタブレットを使った授業を展開。
校内に無線LAN(構内情報通信網)を整備し、
ネットワークを通じて教科書会社などから
配信されるデジタル教材を活用する。
生徒はタブレットを家庭に持ち帰り、宿題をします。
その成果はクラウドを通じて学校側も共有できる。

また、生徒からの注目が集まっているのが、
TV会議システムで遠隔地とつなぐ授業。
トヨタ自動車の工場やハワイの天体観測所と結んで、
教室にいながら車の製造過程や宇宙について学んだ。
このようなインフラ整備が進めば教育コンテンツの
開発も活発になることが予想される。
コンテンツ開発では、栄光ホールディングスが
通信教育「Z会」を運営する増進会出版社と提携し、
小学1年生向けにタブレットで英語を学ぶ教室を開講。
教材は増進会が独自に開発し、アニメーションや音楽、
指で画面にタッチするなどして、感覚的に英語に学ぶことができる。

「東進ハイスクール」を運営するナガセは
スマートフォン(高機能携帯電話)で1800の英単語が学べる
アプリを6月に発売。累計ダウンロード数は約15万件に達した。
アプリの無料配信により、多くの受験生に使ってもらい、
新規の生徒獲得を狙う。
IT活用学習の関連市場は約3800億円に
拡大する可能性があるという説がある。
ただ、義務教育のIT化には課題もある。

東京書籍など、教科書各社はデジタル教科書の
開発に取り組んでいる。
実用化されたのは、先生向けの副教材が中心。
小学校で生徒が使う教科書は
文科省の検定を受ける必用があり、
デジタル教科書の実現には法改正が不可欠となる。
また、財源確保や先生のIT技能を高める研修も、
今後の課題となるだろう。
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