阪神大震災から18年 必需品備えわが子守る


yomiDr
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 阪神大震災から18年。
当時、乳幼児を抱えて被災した母親は、
ミルクやおむつの確保、避難所での夜泣きなどに悩まされた。
一昨年の東日本大震災でも同じ苦労をした女性は多い。
首都直下型地震や南海トラフ地震への備えの
重要性が叫ばれる今、地震から赤ちゃんや
幼い子どもをいかに守るのかを探った。

粉ミルク、おむつ…安否確認「家族の写真」


 「激しい揺れで身動きが取れず、
必死で手を伸ばして娘の頭を覆いました」。
神戸市北区の写真家、井上理絵さん(40)は、
当時住んでいた兵庫県芦屋市の自宅で
就寝中に阪神大震災に遭遇した。
長い揺れの後、生後2か月の長女を見ると、
頭のすぐ近くにテレビが落ちていた。

 家屋の倒壊は免れたが、電気、水道、ガスが止まった。
中身が飛散した粉ミルクの缶の底から残りをかき集め、
近所の酒店に水を分けてもらい、
新聞紙を燃やして、鍋でミルクを温めた。
布のおむつは母が川で洗ってくれた。

 夜泣きに気を使いながら、1か月の避難所生活。
長女の首回りが肌荒れで出血し、
1時間以上歩いて自衛隊の仮設風呂に通ったこともある。
「子連れだからと親切にしてくれる人も多く、
つらいばかりではなかったんですが。
寝てる時も一緒じゃないと、わが子を守れないと痛感しました。
予備のミルクなどの備えも足りなかった」と振り返る。

 こうした体験を踏まえ、子連れでの
防災を考える取り組みが各地で行われている。

 昨年12月、大阪市天王寺区で市女性協会が開いた
「子育てファミリーのための防災講座」では、
幼い子を持つ母親らを前に、
講師の横浜市男女共同参画推進協会の
常光明子さんが家具の転倒防止など、
基本的な備えの重要性を強調。
その後、参加者同士が「災害時に必要な物」
について話し合った。

 懐中電灯や携帯ラジオなど、定番の防災グッズ以外に、
紙おむつやお尻ふきも必需品に挙がる。
「うちの子には、おしゃぶりが外せないなあ」との声も出た。

 常光さんは「自分たちの生活を見直して
『何が必須なのか』を考える視点も必要。
家族とも話し合って独自のリストを作ってみて」と話す。

 防災グッズは、袋にまとめる人もいるが、
常光さんは「小さな子のいる家庭では、
ポケットの多いベストに必需品を詰めておくといい」と勧める。
羽織れば、移動時に両手が使えるからだ。

 大阪府豊中市などが市民に配布した
「とよなか女性防災ノート」には、
用意すべき品として「家族の写真」も紹介されている。
ノートの作成に関わった
「とよなか男女共同参画推進センター」の
川畑真理子さんは「心の支えとしてだけでなく、
はぐれた家族を捜すためにも使える」と説明する。

 川畑さんは、阪神大震災当時は
兵庫県の女性問題カウンセラーとして
様々な相談を受けた。
その経験から言えるのは
「力を借りられる人がいることが、何よりも心強い」ということ。
日頃から近所付き合いがあれば、
災害時にも手助けしてもらいやすい。
「子どもがいるなら、周りに遠慮しすぎず、
甘えることも大事」と訴える。(岡本久美子)
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