男性保育士 辞めないで 金沢、富山で連携進む


中日新聞
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偏見、孤立感解消へ交流

 男性保育士らが連携を深めようと、
金沢市や富山市でグループをつくり精力的に活動している。
圧倒的な「女性社会」の保育業界では、
孤立感に悩むなどして辞めてしまう男性も少なくないため、
横のつながりを強化して離職を食い止めるのが大きな狙い。
加えて金沢市のグループは今後、
保育士全体のネットワークを広げるとともに、
保育士を目指す男子学生らとの交流も進める意気込みだ。
(酒井ゆり)

 金沢市立の保育所や児童館などの
男性保育士七人が集まり結成したのが
「かなざわDHM(男性保育士ミーティング)」。
同市三馬保育所の跡地慎也さん(39)が
保育士の研修会などで知り合った男性たちに声を掛け、
昨年四月に発足した。

 グループでは毎月一回集会を開き、
情報交換して悩みを相談し合っているほか、
偶数月には市教育プラザ富樫で開かれるイベントで、
親子で遊べる広場を開いている。

 跡地さんは「保育所などでは男性が一人という場合がまだ多く、
戸惑って辞めてしまう人も。
それを何とか食い止めたかった」と強調する。

 特に悩むのは偏見。
重たいものがあると当然のように「持ってきて」と頼まれたり、
「男性にしかできないことがある」と言われたり。

 「とやまけん男性保育者の会」の会長で、
現在は富山短大付属みどり野幼稚園(富山市)教諭の
梶義典さん(37)も同じ思いだ。
最初は保育士としてスタートしたものの、
一年目で一度は職場を離れた。
「肩身が狭く、つらかった」という。

 だが、やっぱり子どもと関わる仕事がしたくて現場に戻り、
仲間と二人で会を立ち上げた。
前身の高岡男性保育士会から数えると活動は六年。
会員も保育士だけでなく幼稚園教諭も含む
二十五人ほどに増えた。

 毎月一回の定例会のほか、
年に四回は福祉センターなどでイベントのステージに出演。
体操や楽器演奏を披露するなどし、
男性保育士の周知に力を入れている。
「こうした取り組みはみんなのスキルアップにもなって、
日ごろの仕事にも生かせている」と梶さんは力を込める。

 「かなざわDHM」は今後、少しずつ活動の幅も広げていく。
男性だけでなく、保育士全体のネットワークを築くため
さまざまな保育所を訪問するほか、
保育士を目指す男子学生たちとの交流にも力を入れる。
跡地さんは「男性が当たり前、
という保育環境になってくれたら」と期待する。

  男性保育士  
1999年の法改正で、呼称が「保母」から
「保育士」に統一されたのを機に急増。
2009年には全国で約1万1700人まで増えたが、
まだ全体の約3%にすぎない。
一方、男性の幼稚園教諭は約7400人(12年度)で
全体の約6%。

 全国男性保育者連絡会(東京)などによると、
男性保育士の場合は、偏見のほか、
保育士全体が低賃金であるという実態も
仕事を続けていく上で大きな壁になっているという。
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