【埼玉県】児童養護施設退所者 「孤独・孤立感」44%


東京新聞
------------------------------------------------
 児童養護施設などで過ごした人たちは
施設を出た後、正規雇用に就く割合が低く、
孤独感や孤立感にさいなまれている-。
昨年、県が施設退所者を対象に初めて行った実態調査で、
こんな傾向が明らかになった。
県は調査結果を今後の支援につなげ、
入所者の自立に向けた取り組みに生かしたい考えだ。
(前田朋子)

 県の調査は昨年四月中旬から半年かけて実施された。
県所管の児童養護施設など計二十四カ所(さいたま市を除く)を
過去十年間に退所し、施設が連絡先を把握している
六百十二人にアンケートを行った。
回答者数は百四十八人(24・2%)。
回答者の年齢は十八~二十八歳の範囲内という。

 県によると、児童養護施設の場合、
入所できるのは三~十八歳(特例で二十歳まで延長可能)で、
中学卒業時点で就職した場合は退所しなければならない。
学生などを除き、現在働いている人は九十八人で、
うち正規雇用(正社員)は55・1%
(男性65%、女性48・3%)だった。

 国の労働力調査(十五~二十四歳)では
正規職員の割合が67・7%(男性72・2%、女性63・5%)
であるのに比べると、低い数字が出た。
働いている九十八人の収入状況(月収)を尋ねたところ
「十万~十五万円未満」が46・9%と最多の割合。
二十万円未満で全体の九割を占めた。
退所後に就いた仕事の期間では
「一~三年未満」が38・5%と最も多く、
回答者の三分の一が一年未満と回答。
転職回数が十回以上だった人も3・8%いた。

 退所直後に困ったことについて聞いた設問では
「孤独感、孤立感」と答えた人が44・1%にのぼった。
「相談相手や相談窓口が身近になかった」も25・5%で、
職探しや住居の確保で身元保証人が得られず、
困っている様子がうかがえる。
困ったときの相談相手としては
施設の職員を挙げた人が最も多く、77%だった。

 県の担当者は「施設で育っても
両親のいる子どもたちと遜色なく、という願いがあるが、
孤独感などへの精神的支援や、
離職者への支援が必要だとわかった。
今まで欠けていたアフターケアについて
力を入れていきたい」と話している。
------------------------------------------------
保育士新卒 保育士転職