「貧困の連鎖」断ち切れ、子ども支援策


TBS News I
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 生活に苦しむ人たちをどのように支援していくのか、
厚生労働省の部会が16日、報告書案をまとめて、
生活保護を受給する世帯の子どもたちへの
支援策が盛り込まれました。
親の貧困が子どもへと連鎖する「貧困の連鎖」を
断ち切るための取り組みを取材しました。

 慣れた手つきでタマネギを切るのは、
神奈川県相模原市に住む鈴木さん(仮名・21)。
生活保護を受ける母親(40)と中学2年の妹(14)との
3人暮らしですが、仕事も学校もなく、
週5回、ある場所に通っています。
生活保護世帯の子どもや若者を支援するため、
NPO法人が商店街の一角に開設した拠点
「piece(ピース)」です。

 母親がパートで働き、家計を支えていましたが、
3年ほど前、体調を崩して働けなくなり、
生活保護を受け始めました。
鈴木さんも中学生のときにいじめにあい、
不登校となって以降、通信制高校に通い、
アルバイトもしましたが、対人関係などが理由で
どれも長続きはしませんでした。

 「(中学時代は)本当に自信がなかった。
何をやってもダメという気持ちがすごくあった。
(人といると)気を遣っていたりとか、
 疲れちゃったりとかは今より結構あった」(鈴木さん〔仮名〕)

 鈴木さんがこの拠点に通う目的は、
就職のため、高卒の認定資格を取ること。
このため、週3回、英語と数学の指導を受けています。

 「生活保護から出て、自分のお金で
ちゃんと1人暮らししたい。
この先、できればそう(生活保護から脱却)したい」
(鈴木さん〔仮名〕)

 「piece」は、生活保護世帯の子どもや若者を支援するため、
厚生労働省が相模原市に委託して行っている
モデル事業の1つです。
食育や学習支援を行い、進学や就職につなげることで、
「貧困の連鎖」を断ち切るのが活動の目的です。

 「どうしても生きるのが精いっぱい、
ぎりぎりの生活の中では、
そうした教育をする力を家庭そのものが失っている。
社会的な課題として、こういう形で
お手伝いしていく必要が出ているのでは」
(NPO法人 文化学習協同ネットワーク 佐藤洋作代表理事)

 16日、厚労省の特別部会がまとめた
生活保護世帯への支援戦略。
生活保護世帯の子どもへの学習支援や居場所作りを制度化し、
相模原市のような取り組みを
全国の自治体に広げるべきだと提言しました。

 鈴木さんは「piece」での活動だけでなく、
職業トレーニングも始めました。
週3回、無償ではありますが、野菜を詰めたり、
荷物の積み下ろしを手伝います。

 「積極的になってきたよ。
積極的にならなかったら世の中でやっていけないからね」
(東林間商店街振興組合前理事長 佐藤昇さん)
 「やったことがなかったので、かなり不安でしたね。
今となっては慣れているので、
場合によっては楽しいという感じも出てきた」(鈴木さん〔仮名〕)

 新たな居場所を見つけた鈴木さん。
貧困の連鎖から抜け出すため、
着実に一歩一歩進んでいます。(16日18:06)
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