【埼玉県】里親登録、5年前の3割増で489世帯


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 親をなくしたり、虐待を受けたりして
親と暮らせない子どもを家庭で育てる
里親の登録者が県内でも増えている。
2012年3月末時点で前年比72世帯増の
489世帯と、5年前より3割増えた。
児童養護施設は満杯に近く、
より家庭的な里親制度に寄せられる期待は大きい。

 県は、政府が11年にまとめた
「里親委託ガイドライン」に基づき、
里親登録の増加に力を入れてきた。
家族は社会的な基本集団であり、
「特定の大人との愛着関係の下で養育されることで、
安心感や基本的な信頼感を育むことが期待できる」ためだ。

 県こども安全課は「できる限り、
施設入所よりも里親委託を優先したい」としている。
障害や国籍、性別などが理由で
受け入れ可能な里親が見つからないこともあり、
児童の個性に合わせるためにも、
里親の数は多い方がいいという。

 現在、保護された児童はほとんどが
児童養護施設や乳児院で預かっているが、
職員の目が届きづらい面もある。
欧米では里親か、家庭的な小規模施設が主流だ。
政府は10年後をめどに、
里親制度の活用を全体の3割程度に
拡大することを目指す。

 ただ、実の親から虐待を受け、
心の傷を負った子どもも多く、
養育が難しいといった課題も多い。
県は各地で定期的に入門講座を開いているほか、
委託後は児童相談所を通じた支援も行っている。
会社や地域の理解も必要だ。
同課は「まずは里親について知ってもらいたい」と話している。

      ◇     

 県里親会と県などが主催するシンポジウム
「埼玉っ子に温かい家庭を 里親子を知るための集い」が
3月16日、さいたま市大宮区の
さいたま市民会館おおみやで開かれる。
里親と元里子による発表、意見交換のほか、
森和子・文京学院大准教授が講演する。

 午後1時~4時、無料。
参加希望者は、県里親会のホームページなどから申し込む。
問い合わせは県里親会(048・779・7200)か、
県こども安全課(048・830・3335)へ。

◇徐々に歩み寄りを

 県里親会副理事長の石井敦さん(54)と
妻、佐智子さん(53)(蕨市)の話

 現在、17歳と10歳と6歳の里子と、
15歳の実子を育てている。
17歳と10歳の2人は児童相談所から話があり、
委託後に養子とした。
ほかにも、不法滞在していたフィリピン人の子どもや、
ネグレクト(育児放棄)を受けた
子どもを一時保護で預かったことがある。

 複雑な家庭で育った子どもも多いが、
すべてを受け入れて育てている。
(反抗的に振る舞う)「試しの行動」や
「赤ちゃん返り」もあった。
無理に色を染めるのではなく、
徐々に歩み寄っていくことが大事。
家庭を子どもたちのよりどころにしたい。

 最近は、里親同士が意見を交換できる子育てサークルもある。
自分だけで悩みを抱え込まないことが重要だ。

 里親をやって、近所のみなさんとのつながりなど、
人のありがたさを知ったことも多い。

◇里親 虐待や病気などで、親と暮らせない
18歳までの子どもを自治体から委託されて育てる。
研修を受けて認定されると登録され、
養育中は手当や養育費が支給される。
政府は子どもには家庭的な環境が必要だとする考えから、
施設よりも里親による養育を優先している。
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