小さな子供でも簡単に扱える。
幼稚園でも、ひらがなや数字の学びに
使われ始めているようだ。
園児は、大人が教えなくても遊び感覚でどんどん使う。
関係者からは「長時間使わないような
管理も必要」との声も出るほどだ。【岡礼子】
◇ゲーム感覚で筆順練習
長野県佐久市にある私立佐久幼稚園。
長野県佐久市にある私立佐久幼稚園。
同園は、3年保育で園児は約330人。大規模な幼稚園だ。
同園で、タブレット型端末のiPad(アイパッド)を使い、
ひらがなの練習をするのは年長組の21人。
画面には文字が表示され、
字の上をなぞって練習するアプリ(アプリケーション)を使う。
筆順通りになぞると文字の色が変わる。
順番を間違うと色は変わらないため、
ゲームのように先を争って終わらせる子も。
早く終わった園児がほかの子をみて「遅ーい」と言うと、
斉藤敦(あつし)園長は「早い方が良いというものではないんだ。
書く順番が大事なんだよ。丁寧に書いてください」
と呼び掛けた。
佐久幼稚園は、希望者のみの実験として
佐久幼稚園は、希望者のみの実験として
昨年10月、iPadを導入した。
園が所属する学校法人「信学会」(本部・長野市)の試みで、
佐久幼稚園は幼児教育に使うモデル園になった。
20人程度を募集して開始した。
iPadで練習した後、子供たちは紙に鉛筆で50音を書く。
iPadで練習した後、子供たちは紙に鉛筆で50音を書く。
斉藤園長は「筆順を覚えると、書くのが早い」と驚く。
筆順の練習をせずに、ひらがなを書かせると、
形を見てまねるため、書くのに時間がかかるのだという。
もちろん万能ではない。
斉藤園長は「はねや止めは覚えられないし、
筆圧もわからない。
文字を書くことの一部に効果があるにすぎない。
ただ、興味を持たせる入り口としては使いやすい」。
◇肯定的な回答、半数に
タブレットは市販品として普及し、
タブレットは市販品として普及し、
小学校以上では導入例があるが、
幼稚園で教材として使う例はまだ少ない。
佐久幼稚園では保護者らから子供の視力や
姿勢への影響も心配する声もあった。
ベネッセコーポレーションが0〜5歳児を持つ
首都圏の母親約3000人を対象にした調査では
「6歳までにタブレット型端末で
お絵かきソフトや学習ソフトを使っても良い」
と回答したのは半数だ。
一方、幼児の家庭学習を想定したアプリは多く、
一方、幼児の家庭学習を想定したアプリは多く、
タブレット向けに教材を配信する
通信教育サービスも始まっている。
早期英語教育事業を手がける
「小学館集英社プロダクション」では、
幼稚園や保育園にiPadを貸し出し、
英語教材アプリを提供するサービスを昨年6月に開始。
iPadの教材をテレビなどに映して使う。
私立の50園が利用している。
斉藤園長は「園児は遊びと学びの境がなく、
斉藤園長は「園児は遊びと学びの境がなく、
漢字学習もゲームと同じだ」と指摘する。
集中力は10〜15分程度が限度。
紙に書く学習では30分も続かないが、
iPadを使うと集中する。
そのため、長時間させないように
大人が管理する必要があると考えている。
同園ではiPadを使う授業は30分と決めた。
子供たちが使う専用ペンも時間をかけて選んだ。
iPadは指でも操作できるため、
当初は指を使っていたが「鉛筆の持ち方を覚えている最中なので
(同じように握る)ペンを使った方がいい」
(栗林聖樹(まさき)・信学会幼年教育課第2課長)と
判断したという。
◇使用目的はっきりと
11年度にiPadを導入した横浜市都筑区の
11年度にiPadを導入した横浜市都筑区の
私立エクレス幼稚園も
「園児は家庭でもデジタル機器を扱うため、
使い方を教えることは大切だ」とみる。
時間制限はしていないが「自分の名前の
ひらがなを確認する」など、
何のために使うのか目的をはっきりさせ
「作業が終わったら、iPadも終了」と
教えメリハリをつけているという。
同園では3〜5歳を対象に、
ひらがなの授業などで使っているほか、
教室に2、3台置いて、休み時間などに
園児が自由に使えるようにしている。
上越教育大の大森康正(やすまさ)准教授は
上越教育大の大森康正(やすまさ)准教授は
「iPadが全てではなく、体験のひとつとして使うことが大事。
そのためにどのようなアプリが適しているのか