認可保育所不足 杉並区長 議会で具体策示せず


東京新聞
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 東京都杉並区で希望者の三分の二に当たる
約千八百人が四月から認可保育所に入所できない問題が
十九日、区議会本会議で取り上げられた。
田中良区長は「都市部全体の問題」と、
国や都に支援の充実を求める考えなどを示すにとどまり、
傍聴に詰め掛けた母親からは「私たちの気持ちが
届き切っていない」と不満の声が出た。

 田中区長は、山田耕平区議(共産)が
「本腰を入れた認可保育所の増設を」とただしたのに対し
「状況に即した保育施設の整備をしっかり進める」と説明。
一方で、保育所を増やす努力をすればするほど、
ほかの地域から子育て世代が集まり、
保育需要が高まるとの認識も示した。

 区の零~四歳児人口は年々増加し、
認可保育所への入所申込者数は
今年までの五年間で二倍以上に伸びた。
出保裕次保育課長は「四月からの入所申込者の
約四割は過去三年間に転入してきた人。
住みやすい街として人気がある」と説明する。

 だが、統計を見るとそれが主因とも言い切れない。
乳幼児の子育て世代に当たる
三十代前半の人口は減少傾向にある。
区の人口推計担当者は、子どもの増加は
区内の出生率が少しずつ上がっていることなどが
要因とみている。

 区の推計にも見込み違いがあった。
区は昨年が未就学児人口のピークとみて、
認可保育所の整備よりも区独自の保育室など
認可外施設での緊急対応を重ねてきた。
今年までの五年間で増やした保育定員約千五百人分のうち、
認可保育所の定員の伸びは約四百人にとどまっている。
このため、認可保育所の受け入れ枠は
五年間、ほとんど増えていない。

 この日は、区役所前で抗議集会を開いた母親ら
約十五人も区議会を傍聴した。
大島智子さん(34)は「都に責任を転嫁したりして、
区長にはなかなか私たちの気持ちが
届き切っていないと感じた。
認可保育所を増やすために、
コツコツ活動しなければ」と話した。

 保護者らは二十二日、集団で行政不服審査法に基づく
異議申し立てを区に行う。 (小林由比、柏崎智子)
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