子どもに「10秒の愛」


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 鳥取県琴浦町で、わずかな時間、子どもと向き合って
親子関係を深める「10秒の愛」運動が広がりつつある。
気軽に始められ、親子関係の改善につなげられるという。
同町教委などは24日、「10秒の愛」を提唱する
兵庫県尼崎市教育委員の仲島正教さんを招いて
同町釛(こがね)のカウベルホールでフォーラムを開き、
住民が実践例などを発表し、
参加者も含めて仲島さんと意見交換する。

 「10秒の愛」は、慌ただしい日々の中で10秒間だけでも
子どものことを真剣に考え、ふれ合おうとする運動。
10秒の使い方は、子どもを抱きしめたり、
子どもの話に耳を傾けたりするほか、
感情的に叱る前に一呼吸置くなど様々で、
寝る前に本を読むなど10秒を超える活動をしても良いという。

 親が子どもを気にかけ、応援しているとの思いを伝えることで、
子どもに「自分は大切な存在である」という
自尊感情が芽生え、困難に挑戦する気概が生まれるという。

 同町では、町立以西小のPTA会長だった
井上洋子さん(46)が仲島さんの講演を聞いたのがきっかけで、
2006年度に同小で取り組みが始まった。
永田武教育長(当時)も趣旨に賛同し、
翌年度から「子育ての合言葉」として
町を挙げてのキャンペーンとなり、
ロゴマークを作って町職員の名刺に印刷したり、
10秒の愛をテーマにした一行詩を
親子から募集して町の生涯学習センターに掲示したりし、
実践を呼び掛けてきた。

 これらの取り組みの結果、保護者から
「子どもの方から話しかけてくるようになった」、
子どもからは「少しの間でも話を聞いてもらえてうれしかった」
などの声がアンケートで寄せられるようになった。
10年の全国学力調査でも同町の子どもは、
「家の人と学校の出来事について話をする」
「難しいことでも失敗を恐れないで挑戦している」
「自分には良いところがある」と回答した傾向が、
全国や県の平均より多かったとしている。

 高校生と中学生の3人の女の子を育てる井上さんも、
子どもの頭をなでてやるなど実践し、
「子どもと心が通じ合う実感があり、
子どもが自分の夢に向かって
頑張る原動力になったと思う」と話している。

 井上さんは、「10秒の愛」は夫婦関係などにも
応用できるといい、
「すぐに結果が出るものではないが、
お互いの関係を見直し、
愛情を伝えるきっかけになれば」と話している。

 フォーラムは午後1時30分からで、
「10秒の愛」を実践する町内の保育士や
保護者らが日頃の取り組みを発表。
会場の参加者もそれぞれの実践例を紹介し、
仲島さんがコメントする。
入場無料で、事前申し込み不要。
問い合わせは、同町教委社会教育課
(0858・52・1161)へ。(野口英彦)
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