日本の算数教科書、翻訳してメキシコへ


YOMIURI ONLINE
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 日本の算数教科書がスペイン語へ翻訳され、
メキシコ国内で小学校の教員を目指す学生たちが
1月から使い始めた。

 筑波大とメキシコ教育省の共同事業で、
主導的な役割を果たした
同大教育開発国際協力研究センターの
礒田正美准教授(53)(算数・数学教育学)は
「算数教育を通じて日本の良さが
広まるきっかけになれば」としている。

 背景には、メキシコ政府の危機感があった。
世界65か国・地域が参加した2009年の
国際学習到達度調査(PISA)の数学的応用力で、
メキシコは51位。
教員に対して算数・数学の専門性が
求められてこなかったことが主な原因と考えられ、
算数・数学分野で系統だった指導を行える
教員の養成が急務だった。

 そこで、教育による国際協力を長年行ってきた
筑波大とメキシコ教育省が手を結び、
2008年に翻訳作業をスタート。
元になった本は、同大付属小学校の教員たちが
執筆に携わった2005年版の検定教科書
「みんなと学ぶ小学校算数」(学校図書)だった。

 教科書の翻訳に合わせて指導書も書き下ろされた。
教える順序の必然性とその説明、
礒田准教授がメキシコで6年間、
約2週間ずつ行った日本の算数・数学教育理論の
講習内容などが書かれ、
裏表紙には筑波大の校章がデザインされた。

 今年1月から、この教科書などを使って、
メキシコ国内の師範学校約460校に通う学生が学び始めた。
師範学校は4年制で、2年生が授業で使用し、
算数教育について学ぶ。

 礒田准教授が特に強調する日本の教育理念は
「自ら学び自ら考える子どもを育てる」。
教師が課題を与え、
子供は教科書で調べて考えたことを発表し、
皆で議論するワークショップ形式を重視するというものだ。

 メキシコは、同じくスペイン語圏の
中南米諸国に教育面の支援をする考えを表明しており、
この教科書などを通じて得た
日本の教育理念が広く伝わることも期待されている。

 筑波大は同じ教科書をタイ語に翻訳する作業にも携わった。
すでにタイ国内で教員養成をしている
大学4校の学生とモデル校となった
小学校30校の児童が使っており、
タイ教育省から高い評価を得ているという。
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