野外で学ぶ「幼稚園」 国分寺の企業運営30年


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 園舎がなく、毎日が遠足――。
そんなユニークな幼児教育を、
国分寺市の「ころろ子ども探検隊」が実践している。
子どもの感性を育むため、
野外での活動に特化した教育を始めて今年で30年。
取り組みを紹介する写真展が26~28日、
同市内で開催される。(蔵本早織)

 2月中旬のある朝、市内にある私有地の樹林帯に、
リュックサックを背負った子どもたちが
保護者と一緒に集まってきた。
日々の集合・解散場所は、天気にかかわらずたいてい野外。
冷たい風が吹きすさぶ中、この樹林帯で、
2~6歳の未就学児33人が、
落ち葉を利用した工作などを楽しんだ。

 探検隊の活動は週5日、午前9時から午後2時まで。
駅で集合してから公園に向かうことが多く、
1日に歩く距離は平均4~5キロ。
ピアノが必要な時などだけ系列法人の施設の一室を借りるが、
ほとんどの日を一日中野外で過ごしている。

 絵本の読み聞かせや工作など、
一般的な幼稚園では室内で行うことも、
探検隊では野外で行う。
スタッフの太田裕美さん(31)は、
「ちょっとしたスペースさえあれば、
そこが園舎の代わりになる」と話す。

 探検隊は、発達障害児の療育などに取り組む
民間企業「コロロ発達療育センター」が運営する幼児教育団体。
文部科学省の認可は受けていないため幼稚園ではないが、
発達障害児4人を含む38人の在籍園児たちは、
幼稚園の代わりとして通っている。

 同団体を設立した石井聖さんと
久保田小枝子さんは、元立川市職員。
市職員時代には共に幼児教育に携わっていた。
はだしで歩くと痛い場所が見極められなかったり、
先端に火がついた棒のどこまでが熱いのかが
分からなかったりする幼児の様子を見て、
「子どもの『生きる力』に異変を感じるようになった」と言う。

 「情緒を育むには、触覚や嗅覚など
五感の刺激が多い野外での教育が必要だ」と考えた2人は、
1983年に探検隊を発足。
園舎だけでなく、給食や制服、送迎バスなどがない
今の活動スタイルを確立した。

 こうした特殊な形態が、豊かな感性を育みたいと考える
保護者のニーズの受け皿になっている。
長女(6)を通わせている国分寺市の浜野史子さん(45)は、
「他の幼稚園の園庭に比べ、
五感から得る情報が多いのが野外の魅力。
季節の移ろいに敏感になるなど
子どもの成長を感じる」と話す。

 毎年、年長は標高3000メートル級の
山に登ることになっており、今年は6人が八ヶ岳に登頂した。
JA東京むさし国分寺支店(東恋ヶ窪)で開かれる
写真展では、登山の記録を中心に、
探検隊の日々の取り組みを紹介する。
26日正午~午後4時半、27日午前9時~午後4時半、
28日午前9時~午後3時。
問い合わせは、コロロ発達療育センター
(042・324・8355)。
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