いじめ「再発防止の出発点に」…調査委員


YOMIURI ONLINE
------------------------------------------------
 大津市でいじめを受けた市立中学2年の
男子生徒(当時13歳)が自殺した問題で、
約5か月にわたり事実関係を調べてきた
市の第三者調査委員会(委員長=横山巌弁護士、委員6人)
が調査報告書を越直美市長に提出した
31日、越市長と横山委員長ら委員6人は、
市役所で記者会見し、調査について振り返った。

 委員は「終わりではなく、新たな一歩」などと述べ、
再発防止に向けて報告書の有効活用を望んだ。

 越市長は冒頭、「命を絶った生徒と
ご遺族に哀悼の意を改めて表したい」と切り出した。
その後、市教委と学校が第三者委の
設置前に行った調査について、
「不十分でずさんだった」とし、
「隠蔽と思われる行為や、自殺の原因について
責任転嫁をするような行為があったことをおわびする」
と頭を下げた。

 第三者委の調査に関しては、
関係者全員から聞き取りはできなかったものの、
「徹底的に調査されたものと受け止める」とした。
「過去にもいじめや自殺が繰り返されたのは、
徹底的な調査と公表がされなかったため。
(報告書が)今後、同じような悲しい事件がなくなる
一助となればと思う」と述べた。

 続いて、委員が順に発言。
横山委員長は「亡くなった少年の
気持ちを忘れることなく取り組んだ。
報告書を全国的にいじめについて考える
出発点にしてほしい」と話した。

 同じく弁護士の渡部吉泰副委員長は
「徹底的に事実を調べ、第三者委の模範を作りたかった。
かつてのいじめは、事実が表に出ず、ゆがめられ、
再発防止の教訓は一切、生まれなかった。
より良い学校生活のため、役割を果たせた」と話した。

 「大津に来るため、21回新幹線に乗った」と話したのは、
法政大教授で教育評論家の尾木直樹委員。
段ボール10箱分の資料のうち、
まず生徒たちのアンケートを読み、
「『こんなに事実を書いているじゃないか』と衝撃を受けた。
子どもたちは自責の念にさいなまれ、
先生も苦しんでいるはずだと考えた」という。
調査を進める間にも、全国で子どもの自殺が
相次いだことが「つらかった」と語った。

 京都教育大教授の桶谷守委員は
「(報告書の提出は)終わりではなく、新たな一歩。
私たちは学校、市教委を厳しく指弾した。
子どもたちを真ん中に据えた
教育であってほしいからだ」と要望した。

 大阪芸大教授の西林幸三郎委員は臨床心理士の立場から、
生徒や教員からの聞き取りが事実解明と同時に、
「心を聴く」作業だったと振り返った。
話を聞くうち、生徒たちが自分の思いを口にし、
「委員の皆さん、ありがとう」と言うようになったといい、
「真実を求めることと心のケアは相反しない」と実感したという。

 和歌山大教授の松浦善満委員は
「事実を忠実に究明する姿勢があれば、
学校も教委も困難な問題でも解決できる。
調査結果は公開し、共有化する必要がある」とした。
また、いじめの定義があいまいであることも指摘。
教育社会学者として、「被害者は精神的苦痛を言えない。
定義をさらに研究しなくてはならない」と課題を挙げた。
------------------------------------------------
保育士新卒 保育士転職