いろはのい:男の育休 取得率倍増も、遠い政府目標


毎日jp
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 男性の育児休業(育休)取得率が伸びています。
11年度は過去最高の2・63%と、
改正育児・介護休業法が施行された
前年度(1・38%)からほぼ倍増しました。
「イクメン」という言葉に表されるように、
男性も積極的に育休を取るべきだとの機運の高まりや、
法改正で育休を取りやすくなったことが要因とされています。
ただ、取得率が9割近い女性とは
依然大きな隔たりがあります。【遠藤拓】
 ◇夫婦で1年2カ月

 政府は昨年、男性の育休取得率について
「20年に13%」という目標を設定しましたが、
実現への道のりは平たんではありません。

 育児休業は子どもが1歳になるまで
請求できる法律上の権利です。
1回の出産につき1回取ることができ、
子どもが保育所に入れない時などは
1歳6カ月まで延長できます。
ただし、継続雇用期間が1年に満たないなどの場合は、
労使協定で除外されることがあります。
期間中は雇用保険から月給の
最大5割分の給付金が受けられます。
その間、社会保険料の支払いは
本人だけでなく事業主も免除されます。

 育児のための有給休暇や企業独自の取り組みを
「育児休暇」と呼び、「育休」と略して使われることもありますが、
法律に基づく育児休業とは異なります。

 改正育児・介護休業法は、
男性の育児休業を促す仕組みが導入されました。
一つは、夫婦が育休の取得時期をずらし、
子どもが1歳2カ月になるまで延長できる特例です。
夫婦1人ずつが取得できる
休業期間(妻の産休期間を含む)の上限は
これまで同様、子どもが1歳になるまでの1年間ですが、
妻が1年間育児をした後、
夫に「バトンタッチ」し、夫は2カ月
育休を取れるようになりました。
妻の育休明け前に夫が取得し、
妻の職場復帰の準備を支えることも可能となりました。

 また、妻の出産後8週までの間に
夫が育休を取り終えれば、
2回目を取得できる特例も設けられました。
2回分の合計期間は1年以内です。
「2回目特例」と「1歳2カ月」の併用もできます。
また、従来は労使協定があれば、
妻が専業主婦の男性は育休を取れなかったのですが、
この規定は廃止されました。
 ◇取得にためらいも

 こうしたこともあり、男性の育休取得率は
11年度に過去最高を更新しました。
ただ、厚生労働省が08年に公表した
「今後の仕事と家庭の両立支援調査」
(ニッセイ基礎研究所委託調査)によると、
育休を利用したいと考える男性は31・8%。
多くの男性はたとえ育休を取りたくとも、
まだちゅうちょしている様子がうかがえます。

 育休の申し出や取得を理由とした
解雇や降格は禁止されているのに、なぜでしょう。
背景には「育児は妻の役割」という古い観念だけでなく、
「昇進に影響が出る」「周りに迷惑をかける」
「言い出しづらい」といった
男性の根強い懸念がありそうです。

 こども未来財団が10年に実施した
「父親の育児に関する調査研究」
(主任研究者・武石恵美子法政大教授)では、
部下が育休を取ったことがある
管理職の約8割は影響があったと答えました。
ただ、具体的には「仕事の進め方を
職場で見直すきっかけになった」(41・0%)など
前向きな回答が大半で、悪い影響の方は
「職場のマネジメントが難しくなった」(7・6%)など
それほど多くありませんでした。
案ずるより産むがやすし、かもしれません。

 第1子出産の1年前に仕事をしていた女性のうち、
3分の2は出産半年後に仕事を辞めていたとの
厚労省統計もあります。
女性だけに子育ての苦労を強いる状況が続けば、
2人、3人と子どもを産みたいという
女性の意欲も失わせ、少子化に拍車をかけかねません。
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