学童保育 親にも居場所「ママカフェ」


佐賀新聞
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 「早く帰るよ」-。
子どもをせかせ、足早に帰宅する保護者が行き交う
夕方の放課後児童クラブ(学童保育)。
その気ぜわしさとは雰囲気を異にする、
ゆったりした空間づくりの試みが
嬉野市嬉野町の学童保育で続いている。
全国的に相次ぐ子どもへの虐待などに
心を痛める指導員たちが「大人にも居場所が必要」
との思いで始めた企画。
保護者との円滑な関係づくりに影響をもたらし始めている。

 「温かい飲み物でもいかがですか」。
嬉野小学校の学童保育の一室。
指導員からの誘いの言葉に、一人、また一人と腰を下ろす。
夕食の献立や仕事のことなど、何気ない会話が続く。
「言うこと聞かんもんねぇ」「うちも変わらんよ」。
愚痴をこぼしたり、笑い合ったり。
5分程度の人もいれば、「今日は休みだから」と
小一時間、くつろぐ人もいる。

 嬉野学童保育連合会(辻田律子代表)は
嬉野町内の3校区で学童保育を運営、90人が利用する。
全体の子どもが減少する中、
核家族や一人親家庭で子育てに奮闘する
保護者の増加を背景に利用者は横ばいだ。

 買い物、夕食の準備に忙しい時間帯。
立ち寄ってくれる人がいるだろうか。
スタート前、同連合会と指導員には不安もあったが、
子どもの異変のきっかけを探ると、
保護者が職場や家庭に不安や
迷いを抱えている場合が多く、
「親の心の安定が子どもの安定に不可欠」
との思いで始めた。

 3人の子育て真っ最中の長崎ユカリさん(44)は
「家に帰ると、早くご飯を食べて、
早く風呂に入ってと、せかしてしまう自分がいる。
子どもの様子を聞きながら気持ちをリセットできる時間」、
4回目の参加になる小川真弓さん(42)は
「家では見られない子どもの面を見ることができ、
リラックスできる」と表情を緩めた。

 「ママカフェ」と名付けたこの企画。
飲み物とちょっとした菓子、
そして「ようこそ」の気持ちを添えながら
準備する指導員歴13年目の小島由美子さん(51)は
「ちょっと伝えたいことがあっても、
互いの関係性がないと、
構えられて『苦言』になってしまうこともある。
互いを知ることでそんなハードルが低くなり
話しやすくなった」と実感する。
辻田代表は「日々新聞を読んでいて、
支えてくれる“誰か”がいれば
起きなかった事件もあるだろうと感じる。
そんな一人になれたら」と話す。
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