杉並・認可保育所 入所枠40→100 緊急対応発表


東京新聞
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 東京都杉並区で希望者の三分の二が四月から
認可保育所に入所できない問題で、
田中良区長は二十二日会見し、
認可保育所の二次選考の受け入れ人数を計百人に増やし、
新年度の早い時期に保育施設を増設するなど
緊急対応すると発表した。
抗議集会をするなどして入所枠の増大を訴えた母親の声が、
区を動かした形だ。 (柏崎智子)

 認可保育所の一次選考で入所できなかった
子どもの母親らが同日午後、五十六人分の署名を添えて、
区に行政不服審査法に基づく異議申し立てを行った。
認可保育所の四月入所は、千百三十五人の募集に対し、
二千九百六十八人が申し込んだ。
今月十四日に一次選考結果が通知され、
入所が内定したのは千百九十一人。

 緊急対応では、来月中旬に決まる二次選考に向け、
当初四十人と想定していた募集を、
各認可保育所に受け入れ人数を増やしてもらい、百人に増やす。
また、新年度の早い時期に既存の区施設を利用して増やしたり、
東京都が新たに打ち出した
小規模保育施設の活用でさらに百人の定員を増やす。

 田中区長は昨年四月入園では、
認可外保育施設の利用が決まった人などを除くと
最終的な待機児童数は五十二人だったとし、
「緊急対応で待機児は解消できるのでは」と強調した。

 ただ、今回異議申し立てする母親らは、
認可保育所の整備を求める声が強い。
田中区長は「思いは受け止め、精いっぱい努力する。
区長に就任しそれまでの認可保育所を造らないという
区の方針は転換した。
しかし、認可保育所一辺倒では解決できず時代遅れ。
さまざまな組み合わせでやっていく」と述べた。

◆待機児童数 認可外含まず

 杉並区で声を上げた母親たちと
行政との間には、二つの「溝」がある。

 保育が必要な子どもは、市区町村の義務で
国の基準を満たす認可保育所で受け入れるのが基本。
保護者にも認可保育所の整備を望む声が強い。

 だが、都市部では増え続ける入所希望者への対応として、
土地の確保の困難さや人件費の高さなどを理由に、
保育面積や保育士の配置などが
国基準よりも緩い認可外の施設での受け入れが進む。
杉並区でも今年までの五年間に増やした
保育定員約千五百人のうち、認可保育所の
定員の伸びは約四百人にとどまる。

 「待機児童」のとらえ方にも疑問の声がある。
国は認可保育所を希望しているのに認可外施設に入っている
子どもたちを待機児童に含めていない。
杉並区が発表した待機児童数も
昨年四月一日時点で五十二人で他区に比べて多くはない。

 だが、新年度の認可保育所への申込者
二千九百六十八人に対し、入園できるのは
千百三十五人で千八百人以上が認可保育所からあぶれる。
「待機児童の定義を知らずに、
『他の自治体より少ないから』と転入してみて
実情を知った」という保護者もいる。

 さらに、預け先を見つけられず就労を断念したり、
認可保育所への申し込み自体あきらめている
潜在的な待機児童は全国で
八十五万人に上ると推計されている。 (小林由比)
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