子どもの友 救って10年 とよなかおもちゃ病院


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 無料で壊れたおもちゃを修理する
「とよなか・おもちゃ病院」が4月で開院から丸10年を迎える。
「子どもの喜ぶ顔が見たい」と、定年退職後、
代表の森俊二さん(74)(豊中市)が始め、
仲間と協力しながら約2500個に新たな“命”を吹き込んだ。
「新品を買うのは簡単だが、直して長い間使うことで、
かけがえのないものになると伝えたい」と願う。(井口馨)

 「ロボットが前に進まない」。
豊中市岡町北の豊中人権まちづくりセンター内で
毎月開かれるおもちゃ病院。
今月下旬、大切そうにロボットを抱えた子どもが訴えた。

 森さんと他のメンバーで内部を調べ、
バネが外れていることが判明。修理して動かすと、
不安そうだった子どもの顔から笑みがこぼれた。

 すぐに直せないものは森さんの判断で“入院”させる。
“医師”は現在12人おり、話し合いながら知恵を絞る。
治癒率は90%を超える。

 森さんがおもちゃの修理を始めたのは、定年退職後。
「第二の人生では社会貢献がしたい」と考えており、
たまたまテレビでおもちゃを直す
ボランティア活動を見たのがきっかけで、
富田林市の先輩に弟子入りした。会
社では経理や総務畑。
半年間修業し、修理の技術をゼロから覚えた。

 仲間を集め、2003年4月、
同センターにおもちゃ病院を開院。
持ち込まれるのは電車や無線操縦玩具などが多く、
ホームセンターで調達したプラスチックや金属板、
針金をはんだごてなどを使って加工し、修理に用いた。

 数年前、お年寄りの女性から、首がもげ、
服がぼろぼろの人形を託された。
「昔、主人に買ってもらい、一生の宝物なんです」。
女性からそう聞き、数か月かけて布切れで服を新調し、
首も元通りに直した。
受け取った女性は涙ぐんでいた。
森さんは「大切な思い出を守ることができた」と振り返る。

 修理作業は数時間かかることもあるが、
子どもたちは目の前に座って食い入るように観察する。
メンバーは全員が仕事をリタイアした高齢者たち。
森さんは「世代を超えて地域の人が
交流できる場にもなっている」と手応えを感じている。

 診察は原則、毎月第4土曜の
午前9時15分~同11時45分。
問い合わせは、同センター(06・6841・1315)へ。
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