幼稚園プール水死:水深20センチでなぜ…両親悲しみ今も


毎日jp
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 11年7月、神奈川県大和市の
学校法人西山学園「大和幼稚園」の屋内プールで
水死した貴弘君(当時3歳)の両親が、
プールで遊ぶ幼児の安全管理に疑問を抱いている。
事故防止対策を怠ったとして当時の園長らが書類送検され、
横浜地検は今後処分を決めるが、
両親は園側の対応に危機意識の低さを感じる。
日ごとに増す悲しみを抱えつつ、
事故の真相究明と再発防止を願う。

 「顔を見るのがつらい」。
大和市の自宅で父康弘さん(38)は、遺影を前に肩を落とした。
結婚して3年、妻利奈さん(38)との間にやっとできた子だった。
事故から1年半余。大好きだったおもちゃは残っているが、
貴弘君と過ごした日々の感触が次第に消えていきそうで怖い。

 なぜ死ななくてはならなかったのか−−。
園側から納得のいく回答はない。
独自調査結果にも失望した。
プールは直径4・75メートルで水深約20センチと浅く、
人員配置も教諭の指導も適切だったとし
「溺れて死亡する危険があるとは予見しにくかった」
と結論付けていた。

 06年に埼玉県ふじみ野市営プールで
7歳女児が吸水口に引き込まれ死亡した事故をきっかけに、
国はプールの安全標準指針を作成。
都道府県に、各施設が管理マニュアルを備えて
関係者に周知徹底するよう要請している。

 今年2月、元園長(65)と担任教諭(22)を
業務上過失致死容疑で書類送検した神奈川県警は、
幼稚園が安全マニュアルの整備を怠り
教諭らの指導も不十分だったと判断した。
しかし、園側は保護者たちに「そんな事実はない」と否定した。

 康弘さんは、貴弘君にあの日、
何が起きたのかが知りたい。
加害者が起訴されれば、被害者は
供述調書を閲覧し裁判に参加できることを調べた。
捜査で何が明らかになり、
元園長らは取り調べにどう説明しているのか。
膨らむ疑問を刑事裁判で解消したいと思う。

 独立行政法人・日本スポーツ振興センターによると、
11年度に全国の幼稚園・保育園のプール事故で
医療費を給付したのは約620件に上る。
だが、プールの安全に関する国の対策は小学生以上が中心。
「幼稚園にも浸透しているかは心もとない」
(文部科学省スポーツ振興課)という。

 プールの安全管理・指導をする
公益社団法人・日本プールアメニティ協会は
「浅くても幼児は溺れる可能性があり、
小学生と同じレベルの危機意識を持つべきだ」と指摘する。
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