得意分野から風穴を、東鈴紙器が段ボール使い幼児向け家具販売へ/相模原


カナロコ
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 梱包資材製造の「東鈴紙器」(相模原市中央区)が
4月から段ボールを使った幼児向け家具の
製造・販売に乗り出す。第1弾は小机と椅子。
国内製造業の不振から、本業の業務用段ボールは
受注が伸び悩む。苦境を脱する足掛かりにと気勢を上げた。

 「立派な家具をそろえても幼児期は
体の成長が早く、すぐ使えなくなる。
必要な間だけ気軽に使えるものがあればいいのに」。
契機は昨夏、子育てに励む元社員の
母親の声を鈴木和弥社長が社内で伝え聞いたことだった。

 安く提供でき、不要になれば簡単に処分できる素材とは。
考えるまでもなく生業の段ボールに行き着いた。

 ただ社内には懸念も起きた。
かつてバスのラッピング広告に参入し、
赤字のまま撤退した「失敗体験」がよみがえったからだ。

 「新規事業にはずっと踏み出せずにきた。
が、今回は違う。段ボールなら開発は何とでもなる。
既存の販路も生かせる。市場で十分戦えるんじゃないか」

 本業の業務用段ボールは製品輸送に使われるが、
頼みの国内製造業は低迷続き。
少量多品種の商品づくりで努力もしてきたが、
受注は長期的に減少の一途。
「今ここで一手を打たないと沈んでいくばかりだ」。
そんな危機感も背中を押した。

 食事や遊びと生活の中で用途の広い小机と
椅子に絞って開発に着手した。

 昨年11月に試作品が完成。
全国の家族50組に試用してもらい、意見を聞いた。
組み立てやすいよう部品点数を減らしたり、
安定感を出すよう椅子の足を太くしたりと改良を重ねた。

 「子どもが気に入って使っている」
「自分で組み立てられ愛着が湧いた」
「軽いので簡単に動かせ、掃除がしやすい」。
やがて好感触が伝わってきた。

 発売前から小売店や保育園などの引き合いがある。
「売り込むのが楽しい」と営業社員の士気も上がり、
社内の空気も変わった。

 鈴木社長は「経営の厳しさを時代のせいにしない。
得意分野から風穴をあけ、
将来の明るみを見いだしていきたい」と思いを深める。
今後も幼児向けベッドやタンスなど
年1~2品の新商品を発売していく考えだ。
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