4月から教育資金贈与の非課税導入 信託ビジネス、顧客争奪戦激化


SankeiBiz
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 祖父母から孫への教育資金の贈与が
非課税になる国の措置が来月導入されるのに合わせ、
信託銀行各社は新商品や人材強化に注力している。
“目に入れても痛くない”孫への資金譲渡を機に、
相続対策の裾野が富裕層から一気に広がるとみているためだ。
大手銀行の信託業務への本格参入もあり、
今後、顧客の奪い合いは激化しそうだ。

 信託各社は、早ければ4月にも
新商品「教育資金贈与信託」を発売する。
「信託銀行の新商品としては久しぶりに大きな反響」
(信託協会会長の北村邦太郎・
三井住友トラスト・ホールディングス社長)があり、
顧客獲得の絶好の機会だ。
信託銀の顧客の平均年齢は60代以上と高齢化しており、
新商品をテコに若い世代を取り込む狙いもある。

 三菱UFJ信託銀行では教育資金贈与に関する
専用ダイヤルの相談件数が、
多い日で1日100件以上にのぼる。
新商品はグループの三菱東京UFJ銀行と
三菱UFJモルガン・スタンレー証券の
顧客も利用できるよう準備中で、
グループの顧客基盤を活用する方針だ。
教育資金贈与信託を機に、相続など関連商品を提案できるよう、
資産運用や相続、不動産などに精通する行員を
今後2年で2倍の300人に増員する。

 みずほ信託銀行も、みずほ銀行と共同で
2月中旬から首都圏など計約40カ所で
相続関連セミナーを開催し、昨年より参加者は2割増えた。
みずほ銀行の管理職に信託業務の研修を
3カ月間行った上で支店に再配置するなど、
みずほ銀行の顧客の囲い込みに必死だ。

 一方、大手行も信託ビジネスを本格化。
三井住友銀行は2月下旬から
遺産整理業務の取り扱いを始めた。
昨年8月以降、東京と大阪で試験的に導入したところ、
高齢者だけでなく、一部相続人が遠方に住んでいたり、
多忙で相続手続きができない人にも需要が高かったという。
手数料が最低150万円かかるため、
富裕層の獲得を見込む。

 りそな銀行は、来月以降に発売する
教育資金贈与信託の新商品をグループの
埼玉りそな銀行と近畿大阪銀行の店頭でも扱う方針。
グループ計約600の支店網があり
「窓口の少ない信託銀の需要をつかむチャンス」と意気込む。

 今国会で審議中の税制改正は、
相続税の課税対象は現在の4%から6%に広がる見込み。
第一生命経済研究所によると、
高額資産保有世帯の上位5.3%が
家計の総資産(2556兆円)の25%を保有し、
節税の需要を見込む資産は640兆円
(うち60歳以上は476兆円)にのぼる。
教育資金贈与の非課税措置は、
高齢者にかたよる個人資産の世代間移転にもつながり、
アベノミクスの経済活性化の目玉となりそうだ。
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