被災体験 道徳教材に…福島


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 福島県教育委員会は、東日本大震災で実際にあった
心温まるエピソードや、被災者の体験談などを盛り込んだ
道徳の教材を作成した。

 県内の小中高校800校に配布し、
小中学校での道徳の授業や高校のホームルームで
活用してもらう考えだ。
県教委が道徳教材を手がけるのは初めて。

 教材名は「ふくしま道徳教育資料集 生き抜く・いのち」。
道徳の研究グループなどに所属する
県内の小中高教員ら27人が「教材作成委員会」を作り、
ニュースや自分たちが直接見聞きした話を基に
1年間かけて編集した。
小、中、高校編の三つに分け、計18話を掲載している。

 小学校編の「きぼうの水族館」は、
地震・津波で被災した水族館「アクアマリンふくしま」(いわき市)の
飼育員「津崎さん」を主人公に取り上げた。

 電気や水道が遮断され、ガラス越しに
生き物が死んでいくのを目の当たりにした津崎さんは、
「元気な生き物だけでも何とか助けたい」と奔走する。
福島第一原発の建屋が爆発し、不安が膨らむ中、
千葉県の水族館職員がトラックで駆けつけ、
ゴマフアザラシ「くらら」を引き取ってくれた。
くららは千葉で赤ちゃん「きぼう」を産む。
再開したアクアマリンで泳ぐ「きぼう」に喜ぶ来館者を見て、
津崎さんの目から涙があふれる――という話だ。

 編集にかかわった教員自身の体験を基にした話も盛り込まれた。
中学校編の「大切なひと」は、
県内の中学校に務める「私」が、
福島出身で友人の宮城県石巻市職員から届いた
メールを紹介する内容だ。

 震災から5日後、「私」のもとに、
安否を心配していた友人から「無事です」とのメールが届く。
原発事故で福島の状況が悪化し、
友人の実家も第一原発から約30キロ・メートルにあったが、
2通目のメールには「全部受け止めて
進んでいかなきゃいけない」とつづられ、泣き言はなかった。
「私」は、「不安ばかりを口にしていた自分を恥じ、
目の前の生徒のためにできることを精いっぱいしていこう」
と心を決めた。

 県教委は教員用の教材とCDを各校に配布し、
授業ではCDから必要な部分をコピーして使ってもらう。
一般の人にも広く読んでもらうため、
県教委ホームページにも掲載する予定だ。

 県教委義務教育課の佐藤秀美主幹は
「命を守るための努力の大切さや、
守るために何をしなければいけないのか
ということを感じ取ってもらえれば」と話している。
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