中高一貫教育校のメリットとは 高志高校に15年度開校


福井新聞
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 学校の今を見つめる「ふくい教育ウオッチ」(1)

 福井県内初となる公立の併設型中高一貫教育校が
2015年4月をめどに福井市の高志高校に導入される。
中高6年間を通して「地域社会のリーダーとなる
高い学力と豊かな人間性を養う」(県教委)のが目的。
県外の先進校に教員を派遣して開校に向けた準備が進む。
県立の附属中が校内に設けられる高志高には、
早くも受験日程などの問い合わせが相次ぎ、
保護者の関心が高まっている。

 ◆先取り学習
 「附属中に入学すれば伝統ある高志高にエスカレーター方式で進める。
わが子がつらい高校受験をしなくて済むのは大きな魅力」
(福井市円山地区の42歳女性)。
「中高一貫校でしか学べない教育内容なら、
受験を検討してみたい」(同市社西地区の37歳女性)
 県教委が今年2月、附属中を高志高に置く方針を示して以降、
保護者は敏感に反応している。
とりわけ最初の新入生に見込まれる現在の小学5年生は、
来年末に受験本番を迎える。親同士、顔が合えば話題に上る。
 県教委の設置方針によると、
一貫校では生徒の課題解決力を養うほか、
福井の歴史や先人について学び、英語力を高める授業を展開する。
 6年間を見通した教育課程を編成できるのが「併設型」の利点で、
高校の指導内容を中学で先取りするといった、
中高の学習の入れ替えが国に認められている。
朝日中と丹生高など県内3地域で導入している「連携型」が、
授業の協力にとどまる点で異なる。
 県教委の小和田和義企画幹は「弾力的な教育課程によって、
生徒の能力を効果的に引き出す教科指導ができる。
高校入試のための学習時間を振り向け、
6年間を見通した探究活動に取り組める」と説明する。
 ◆将来じっくりと

 県外の先進校を見ると、「併設型」の
特長を生かしたカリキュラムを組んでいる。
県教委が本年度教員を派遣している
茨城県立日立一高附属中は中学3年で
高校数学?の2次関数や確率を学び、
英語は英検準2級の取得を目指している。
 長野県立屋代高附属中は「鳩学」という
郷土の歴史に理解を深める独自授業を展開し
「近くにある県内トップの進学校を意識し
試行錯誤している」(派遣教員)という。
 全国中高一貫教育研究会長を務めた経験がある
名古屋大教育学部附属中・高の植田健男校長は
4月に福井市内で講演し、自校が進める、
大学受験に重点を置かない探究中心の教育内容を説明。
総合人間科という独自の授業で環境や平和を考えさせたり、
大学で学生と議論させ、自ら考えて行動する
「自立した子ども」の養成を目指す教育方針を解説した。
 植田校長は生徒の様子について
「大学生が驚くほど自分の考えをしっかり持っている」と自負。
「卒業後は大学に進む生徒もいれば、
競輪選手を目標にする生徒もいる。
どのような進路を選ぶにしても、6年間を通して
自分の将来をじっくり考えられる点が一番のメリット」
と併設型中高一貫校の意義を強調した。
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