日立、イオン、大塚製薬…大手企業続々、女性登用に本腰 育児補助も増やし


msn産経ニュース
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 役員や管理職に女性を登用する方針を示す
大手企業が相次いでいる。
初の女性役員が誕生した企業や、
女性役員の比率を現状の数倍にまで引き上げるなどの動きが目立つ。
安倍晋三首相は4月、
「女性の活躍は成長戦略の中核」などとする成長戦略を発表。
全上場企業に対し、役員に女性を1人以上起用するよう求めており、
組織の活性化や、女性の視点を経営に生かすことを狙いに、
女性登用が今後増える可能性がある。(兼松康)

 日立製作所は平成27年度までに取締役のほか
執行役員、理事も含む役員に女性社員を起用する目標を掲げた。
女性の社外取締役はいるが、役員は明治43年の創業以来ゼロ。
課長職以上の女性管理職も32年度までに
現在の2・5倍の1千人に拡充し、組織を活性化する。

 イオンも部課長や店長などの管理職に占める女性の割合を、
32年までに現状の7%程度から50%に引き上げる。
岡田元也社長は「10年たつと女性の大半は辞めてしまう。
生産性を低下させる大きな要因だ」と指摘、
女性登用の必要性を訴える。
社外取締役にも、性別などを問わずに多様な人材を活用する
ダイバーシティーに詳しいベネッセホールディングス副社長の
内永ゆか子氏を選任した。

 三菱UFJフィナンシャル・グループは
早稲田大学大学院ファイナンス研究科教授の
川本裕子氏を取締役に起用する。
大手銀行3グループで取締役に女性を起用するのは初めてとなる。

 安倍首相の要請前から、一部の企業では
女性の積極活用を進めている。大塚製薬は
32年までに50%をめどに女性役員の積極登用を図る。
現在は執行役員34人中5人が女性だ。
笠章子常務執行役員広報部長は
「日本の消費の決定権の7割を持つといわれる
女性の感覚を企業が生かせていないのはナンセンス」と指摘する。

 女性登用の課題となるのは、
女性が仕事と育児を両立できる環境整備だ。

 大和証券は17年度から3年間の育児休職や
月額2万円の保育費補助などの制度を設け、
その後、3度にわたり制度を拡充。
男女ともに働きやすい環境づくりに腐心する。
今後は営業部門で1割を占める
女性管理職を数年で倍増させる方針だ。

 社員の8割を女性が占める資生堂も、
美容部員だった関根近子氏が昨年4月、
初の女性執行役員に就任した。
同社は安倍政権の成長戦略に盛り込まれた
「育休3年」を2年から実施しているほか、
子育て中の社員支援に、15年には従業員向けの
保育施設を事業所内に設置するなど
制度整備に早くから乗り出している。

 大和総研の伊藤正晴主任研究員は
「(女性を含む)多様な視点が企業の活力につながる」と
女性登用の効果を解説する。
厚生労働省の「雇用均等基本調査」の結果(速報)によると、
固定的な男女の役割分担意識などによる
男女の労働者の差を解消することを目的とした
「ポジティブ・アクション」に取り組んだ企業は
23年は31・7%と過去最高となっており、
伊藤氏は「女性を登用する全体的な下地は
整いつつある」と話している。
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