先天性代謝異常、出生時に発見 こども病院が新検査


信毎web
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 県立こども病院(安曇野市)が、赤ちゃんが生まれた時に、
まだ症状の出ていない先天性の代謝異常を見つけ、
病気や障害の予防につなげる新しい検査を
10月に始めることが25日分かった。
新生児の血液から、一度に16種類の疾患を調べられる方法で、
県内では初の導入。
県内全ての病院や産科を対象に、
検査を希望する新生児の血液を集めて調べる。
治療しないと発達の遅れや命の危険につながる
有機酸代謝異常症や脂肪酸代謝異常症などを早期発見し、
症状が出る前に診断・治療する。

 県内では現在、新生児に対し、
アミノ酸代謝異常や内分泌疾患など計6疾患が判別できる検査が、
県が委託した県健康づくり事業団(長野市)で行われている。

 こども病院が導入する検査は「タンデムマス法」と呼ばれ、全国で導入が進む。
新生児のかかとから採血した検体を質量分析計で解析し、
16疾患を一度に見つけることができる。
従来の方法では判別できるが、タンデムマス法では見つけられない
先天性甲状腺機能低下症など3疾患は、同病院が従来法を継続する。

 同病院は既に、質量分析計1台を臨床検査科内に設置し、
3人体制で検査を担う。
県は本年度予算に委託費3600万円余を盛った。

 タンデムマス法は、従来法より精度が高く、
検査費用を抑えられるのが特徴。
同法の導入を呼び掛けてきた厚生労働省の研究班を
昨年度まで務めた島根大医学部の山口清次教授(62)は
「この方法で見つかる病気は、極めてまれなものだが、
治療を後回しにせず、助かる命は救うのが大事」と強調する。

 こども病院によると、先天性代謝異常がある赤ちゃんは発症後、
正常に発達する割合が低く、有機酸代謝異常症や
脂肪酸代謝異常症は約30%が死亡。
厚労省研究班の調査では、タンデムマス法で
全国の65人が発症前に診断され、
正常発達の割合が高まったとされる。

 先天性代謝異常が見つかった新生児への対応について、
県こども・家庭課は「精密検査や治療のために
医師とすぐに連絡が付く態勢が必要」とする。
新たな検査を担う同病院の中村友彦副院長(54)は
「こども病院が検査を担い、その後の治療や
カウンセリング治療も進めることができる」としている。
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