「お米のシューアイス」7月発売 子供のアイデア商品化 職業体験にも


msn産経ニュース
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 子供たちの取り組みが市場に出回る商品になろうとしている。
子供たちは職業体験ではなく、実際のビジネスの苦労や達成感を学び、
企業は自社になかった新鮮なアイデアを得られたという。(戸谷真美)

 ◆稲作体験から

 5月上旬、千葉県市川市の市立行徳小学校に、
この春に同校を卒業した旧6年1組の生徒たちが集まった。
同席したのは、シュークリームなどの製造・販売を行う
「洋菓子のヒロタ」(東京都千代田区)の広野道子社長兼会長や社員、地域の人々。
生徒たちが考案し、同社がこの夏に全国販売する予定の
「お米のシューアイス」の試食会だ。

 生徒たちは5年生のとき、食育の一環として稲作を体験。
日本の食料自給率が低い(39%=カロリーベース、平成23年度)ことに
危機感を覚え、日本の代表的な食であるコメの消費量を上げるため、
ご飯や米粉を使った菓子などを試作し、
地元の商店や企業などに売り込んできた。

 だが、アイデアだけでは市場に流通する商品にはならない。
作った菓子をコンテストに応募するなどして「実績」作りに取り組んだ。
こうした結果、NPO法人「コヂカラ・ニッポン」が協力し、
同社を招いた2月の試食会で商品化への検討が決まった。

 「試食したら想像をはるかに超えておいしく、
『これならいけるんじゃないか』と思った。
コメのアイスなんて思いがけない発想ですよね」と広野さんは振り返る。

 ◆試行錯誤

 子供たちからアイデアを得たヒロタは2月から商品化に向けた検討を開始。
しかし、苦労は多かった。

 例えば、子供たちのレシピでは冷やご飯を使って
アイスクリームを作っていたが、メーカーではそうはいかない。
炊いたご飯は粘りが出て均一に混ざらず、
工場の機械との相性とも問題がある。
試行錯誤の結果、もち米を蒸して乾燥させたものを
シロップに付けて戻すことで、粒感の残る食感を出すのに成功した。

 同社商品本部長の土屋文男さんは
「準備期間は短かったが集中して取り組めた。
子供たちの豊かな発想や諦めない気持ちから、
たくさんのことを教えてもらいました」。

 一方、子供たちは販促のためのキャッチコピーやキャラクター作りもした。
「マイ(米)ちゃん・シュー君」のキャラクターを考えた
城戸はなねさん(12)は「商品になってびっくりした。
本当にうれしい」と笑顔で話した。

 ◆食の大切さ伝える

 「米粉入りのパンをみんなが1カ月に
3個(1日に7グラム)食べたら食料自給率は1%アップします」。
試食会では集まった地域の人たちに向けて、
子供たちがプレゼンテーションを行った。
1個にコメが30粒入ったものと45粒入ったものを
食べ比べてもらった結果、45粒入りを支持した人が多く、
パッケージにも新たなアイデアが出された。

 元担任の土橋弥生教諭は
「ものを実際に売るにはこれだけの苦労がある、
ということを子供たちは実際に体験できた。
食の大切さを伝えたいという気持ちが、
商品化という結果につながったと思う」。
林田健太君(12)も「机でする勉強より楽しく、
多くのことが身に付いた。やりたいことを意欲を持ってやって、
形になって自信がついた」と満足そうだ。

 同社ではこの結果を基に販売戦略などを検討し、
7月をめどに全国発売するという。
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