Business 誠様
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もったいない」。そんな理由から、
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もったいない」。そんな理由から、
公立保育所で調理員らが余った給食を食べていたことが明らかになった。
給食費を払ってないのに“役得”でつまみ食いをしていた行為は、
市民の目にはどう映るのだろうか。
「もったいない」。そんな理由から、兵庫県西宮市の半数以上の公立保育所で
「もったいない」。そんな理由から、兵庫県西宮市の半数以上の公立保育所で
調理員らが余った給食を食べていたことが明らかになった。
余った給食は廃棄される決まりで、
保育所長会でも「食べてはいけない」と取り決めていたが、
周知徹底されていなかった。
この問題で市は、所管部署の幹部らを文書訓告としたものの、
調理員らについては「食べてはだめと知らなかった」として処分を見送った。
給食費を払ってないのに“役得”でつまみ食いをしていた行為は、
市民の目にはどう映るのだろうか。(吉田智香)
内部告発で発覚
「保育所の調理員が、残った給食を食べている」
西宮市に調理員らのつまみ食いに関する情報が寄せられたのは昨年9月。
内部告発で発覚
「保育所の調理員が、残った給食を食べている」
西宮市に調理員らのつまみ食いに関する情報が寄せられたのは昨年9月。
市が聞き取り調査に乗り出すと、
8保育所で調理員らが余った給食を食べていたことが分かった。
12月の市議会では市議がこの問題を取り上げ、
12月の市議会では市議がこの問題を取り上げ、
調理業務における管理監督体制の課題やマニュアルの見直しの必要性を指摘。
「問題点が改善されないならば、調理の外部委託を進めることが有効ではないか」
と市の姿勢をただした。
市はその後、さらに詳しい調査を実施。
市はその後、さらに詳しい調査を実施。
聞き取りの対象者は全保育所長24人と全調理員92人に上り、
平成14~23年度に新たに9保育所で給食の残りを食べていたことが判明。
給食を食べたことを認めた調理員は最終的に17保育所の計27人に上った。
昼食におかずの一品として
調理員の服務規律を厳格にする意味もあり、
昼食におかずの一品として
調理員の服務規律を厳格にする意味もあり、
余った給食については平成13年の保育所長会で、
「食べない」という取り決めが口頭でなされていた。
給食の調理に関する手順を定めた「調理室の作業マニュアル」でも、
昼食は「各自で準備」するよう明記されている。
つまり、配膳(はいぜん)前に保育所長や調理員が給食の味や量、
つまり、配膳(はいぜん)前に保育所長や調理員が給食の味や量、
盛りつけを評価し記録に残すための「検食」や、
調理中の「味見」という業務の一環として位置づけられている場合を除けば、
たとえ余ったとしても給食を食べてはいけない決まりになっていた。
しかし、取り決めを知らない調理員が多く、
しかし、取り決めを知らない調理員が多く、
「捨てるのはもったいない」として、余った分を食べたり、
余るのを見越して配膳前に取り分けて食べたりしていた。
中には昼食を持参しながら、
おかずの一品として給食を食べていたケースもあったという。
夏は2割も……どうせ余るのだから
西宮市内の公立保育所で給食が始まったのは昭和23(1948)年。
夏は2割も……どうせ余るのだから
西宮市内の公立保育所で給食が始まったのは昭和23(1948)年。
各保育所の調理員が、子供の年齢に合わせ
栄養価や季節感を考慮した給食を作っている。
現在、市内の23保育所に通う約2500人が年間300日程度、給食を食べている。
体調不良による欠席や、食べ残しで余った給食は廃棄され、
体調不良による欠席や、食べ残しで余った給食は廃棄され、
年間10%強が無駄になる計算だ。
保護者が夏季休暇を取ることが多い8月は、
出席する子供の数が予測しにくいため廃棄率が高くなりがちで、
通常の倍近い19%に達することもあるという。
「どうせ余るのだから、取り分けて食べても構わないだろう……」。
「どうせ余るのだから、取り分けて食べても構わないだろう……」。
そんな意識が調理員の間に蔓延(まんえん)していたのかもしれない。
市が外部有識者を交えて設けた「市公立保育所給食問題検討会」は
市が外部有識者を交えて設けた「市公立保育所給食問題検討会」は
今年3月にまとめた提言書で、調理員へのアンケートを通して
「集団になると周りの意見に流されてしまう傾向」がみられたと指摘している。
でも、おとがめなし
「給食の材料を持ち帰っていたケースもある」「保育士も食べていた」
市の調査にはそんな情報も寄せられたが、
でも、おとがめなし
「給食の材料を持ち帰っていたケースもある」「保育士も食べていた」
市の調査にはそんな情報も寄せられたが、
時期や量の特定など具体的な事例を明らかにする作業は困難を極めた。
最終的に市は調理員に関しては「処分に該当するような証拠は得られない」と判断。
「食べてはいけないという認識がなかった」などとして、いずれも処分を見送った。
一方で、取り決めを明文化するなどの措置を取らず周知を怠ったなどとして、
一方で、取り決めを明文化するなどの措置を取らず周知を怠ったなどとして、
問題発覚時の健康福祉局担当理事と同参与、
同保育所事業課長の3人を文書訓告とし、組織としてのけじめをつけた。
再発防止に向けて
「調理終了後2時間が経過した食品は、全て廃棄すること」。
「調理終了後2時間が経過した食品は、全て廃棄すること」。
再発を防ぐため市は4月、「調理室の作業マニュアル」にこんな一文を追加した。
市保育所事業課は「『食べてはいけない』という趣旨が込められている」と強調するが、
市保育所事業課は「『食べてはいけない』という趣旨が込められている」と強調するが、
調理後2時間未満なら、廃棄せず食べてもよいと解釈できる
“抜け道”が残されていると取れなくもない。
マニュアルが骨抜きになる可能性をはらんではいないのだろうか。
マニュアルが骨抜きになる可能性をはらんではいないのだろうか。
同課は「検討会の提言も踏まえ、マニュアルの改訂や、
調理員に給食費を払って給食を食べてもらうことが
今後の検討課題となってくるかもしれない」としている。
西宮市ではほかにも不祥事や不適正な事務処理が相次いだため、
西宮市ではほかにも不祥事や不適正な事務処理が相次いだため、
河野昌弘市長が6月、管理職を集め
「市民に後ろ指をさされないよう、誇りを持って頑張ってほしい」と訓示した。
その言葉は、保育所の調理員らにも向けられている。
確かに、まだ食べられるものを杓子定規に規則で捨ててしまうのはどうか
確かに、まだ食べられるものを杓子定規に規則で捨ててしまうのはどうか
-といった意見もあるだろうが、
役得的に余った給食を食べていた調理員の行為は、
とてもほめられたものではないだろう。
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