「安全な保育できぬ」保育士ら会見 中央保育園移転問題

西日本新聞
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 福岡市が同市・天神地区のラブホテルなどが立ち並ぶエリアに
認可保育所「中央保育園」の移転を計画する問題で、
園の保育士や保護者が24日、計画中止と現地での建て替えを求め、記者会見を開いた。
保育士たちは計画地周辺の交通量が多く、通園路の狭さを指摘。
「今の予定地では安全な保育はできない。市長に直接、思いを伝えたい」として、
高島宗一郎市長への面会を訴えた。

 出席したのは同園に勤める保育士約40人のうち23人と、
在園児や卒園児の保護者約20人。
計画では、現在、入居する中央区今泉1丁目の市立中央児童会館から、
約200メートル離れた建設予定地へ移転。
車の交通量が多い上、ガードレールのない幅5・5メートルの
狭い道路が通園路になるという。
裏手にはパチンコ店、半径200メートル以内にラブホテル7軒がある。

 保育士たちは今年5月ごろから災害時の避難路や園児の散歩ルートなどを検討。
主任保育士の鶴田敦子さん(54)は「当初から不安があった。
具体的に検討する中であそこでは子どもたちの安全が守れないと判断した」と打ち明けた。

 移転後は、定員を現在の150人から300人に増やし、
深夜2時までの保育を計画。副主任保育士の安部昌代さん(52)は
「緊急時は保育士1人が園児2人を抱えるのが精いっぱい。
市側が検討する歩道の整備や避難経路の確保も踏まえて歩き回ったが、
全員の安全な避難は非常に厳しい」と強調した。

 保護者たちは18日に市長宛ての面会要望書を提出したが、
高島市長は19日の会見で、面会に応じない考えを示す一方、
「子どもを深夜まで預け、仕事の後に迎えに行ける保育所がほしいという
親のニーズがある」と移転理由を述べた。

 園を運営する福岡市保育協会は着工を延期し、
来年4月の開園を断念したことを表明している。

=2013/06/25付 西日本新聞朝刊=
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