発達障害児「診断医」130人養成…福井

YOMIURI ONLINE
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今年度から3年間 研修計画

 コミュニケーションや読み書きなどが苦手な発達障害の子どもをサポートするため、
県は今年度から、いち早く兆候を見抜き、
最適な専門職に橋渡しできる医師の養成に取り組む。

 2016年度末までに130人の研修を終える計画で、
県は「身近な地域で子どもの心の診療ができる体制を整えたい」としている。

 県の08年度の調査では、教育現場や健診で発達障害が疑われた
「気になる子」の数が、乳幼児で少なくとも2167人、
保育・幼稚園児は1966人、小中高校生は4502人で、
高校生以下の子ども全体の6・2%を占めた。
医師の診断を受ける例も増えており、
県こども療育センター(福井市)の新規患者数は07年度の114人から
11年度には170人になった。

 だが、発達障害に詳しい児童精神科医は全国的にも不足しており、
県によると、学会の認定医資格を持つなど、
熟練した医師は県内に8人しかいないという。
診察には問診や検査などで数時間かかるため、
2~3か月の予約待ちは珍しくない。

 診断後は、医師以外にも、意思疎通が難しければ言語聴覚士、
体の使い方が苦手なら作業療法士などと、様々な専門職が関わる。
早期から療育施設で専門知識を持った保育士から指導を受けたことで、
生活習慣やコミュニケーションの能力などが向上するケースもある。

 そこで県は、地域の小児科医や精神科医らを対象に、
専門の医療機関や、専門職のいる支援機関に紹介すべきか
判断できる目を養ってもらうことにした。
詳しい知識を持った医師が増えることも狙っている。

 具体的には、特徴的な症状などに関する基礎講座や、
具体的な症例をビデオなどで解説する研修を3年かけて実施する計画。
今年度中の開始に向け、昨年11月には県医師会や福井大などとともに
協議会を発足させ、現在、カリキュラムや教材などの準備を進めている。

 計画の策定などに携わる同センター小児科・児童精神科の
津田明美主任医長は「発達障害への認識は医師の間でもまだ十分とは言えず、
こうした取り組みで理解が広がってほしい。
ただ、診断後に病院外でいかに社会と関わるかが大事なので、
療育に有効な情報を一元的に集め、
家族の相談にも応じる体制も構築していくべきだ」と指摘している。
(酒本友紀子)
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