トイレすらなく、暗に入社拒否も 男性保育士の労働環境〈AERA〉

YAHOOニュース
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“女性の聖域”だった保育の現場で男性が働き始めたのは1970年代初めごろ。
最近では男性保育士も少しずつ増えてきた。
しかし保護者からの偏見、劣悪な待遇など、男性の少ない業界ならではの問題もある。

 名古屋市内の民間保育園に勤務するCさん(34)は、
数年前、女子園児の保護者から直接、
「この子はよくおしっこもらすけど、先生はこの子のオムツ替えんといてぇ」と言われた。
理由は「男」だったからだ。

「男性は困る」という理由で、乳児(3歳未満)専門の保育園の園長から
暗に入社を断られたこともあるという。

「国家資格の専門職なのに、同じ国家資格の医師や弁護士と比べて
あまりにも社会的認知が低いです」

 男性保育士の悩みは、設備面にも及ぶ。
園内に、男性用トイレや更衣室すらないケースが多いのだ。
着替える時は休憩室の扉に「いま着替え中」と書いた張り紙を張ったり、
園内の廊下の一角に畳を敷いてカーテンで仕切り、着替えをするという男性保育士もいた。
女性に更衣室がなかったりすれば、明らかなセクハラだ。
予算に余裕がないという台所事情もあるが、
「せめて更衣室ぐらいほしい」と男性保育士たちは口をそろえる。

 そうしたなか、兵庫県内の公立保育園の男性保育士Aさん(34)は
昨年2月、同じ市内の仲間の男性保育士と一緒に、市に「要望書」を提出した。
(1)男性用トイレ、更衣室、シャワー室の設置、
(2)職場への男性保育士の複数配置、(3)乳児クラスの担当、などを市に求めた。

 Aさんの市では、男性保育士が乳児クラスを担当するケースは少ない。
0歳児に至っては皆無。
この点を市は、「男性保育士に0歳、1歳児をもたせない決まりはない」
と答えたというが、Aさんは、保護者との衝突やトラブルを避け
「保身」に走る園の意思が働いているのではないかという。

「いまのような場当たり的な対応では何も解決しない。
男性保育士はこれからもっと増えていきます。
そのために、オムツ替えやシャワーなど、
女子園児へのかかわり方をマニュアルなどで明文化してほしい」(Aさん)

※AERA 2013年6月17日号
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