児童虐待、12年度最多の6万6000件 通報増える

日本経済新聞
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 2012年度に全国の児童相談所が対応した児童虐待に関する相談が、
前年度と比べて11.5%増の6万6807件(速報値)で過去最多を更新したことが
25日、厚生労働省のまとめでわかった。
虐待から子供を守るため昨年4月に創設された親権停止制度で、
児童相談所長が家庭裁判所に申し立てたのが1年間で27件あり、
15件が認められていたことも判明した。

 1990年度の集計開始以来、22年連続の増加で、6万件を超えたのは初。
厚労省は対応件数の増加について「社会的関心の高まりや
警察との連携が進んだことが通報に結びついている」と分析している。

 厚労省によると、全国207カ所の児相に寄せられた通報や相談のうち、
虐待の疑いがあると判断して親への指導や
施設への入所などの対応が取られた件数をまとめた。

 都道府県別でみると、大阪が9875件で最も多く、
神奈川(8324件)、埼玉(4853件)、東京(4788件)、千葉(4776件)、と続いた。

 児童相談所長による親権停止の申し立ては17自治体で27件あり、
家裁が12自治体の15件で親権停止を認めた。
このほか、3月末時点で審判中が11件、申し立ての取り下げが1件あった。

 一方、厚労省の専門委員会は25日、11年度の児童虐待死亡事例の検証結果を公表。
虐待死した児童は前年度より7人多い58人で、0歳児が最多の25人(43.1%)だった。
0歳から2歳児を合わせると39人で、全体の7割近くを占めた。

 児相が相談を受けるなど関与していたのは3割にあたる17人。
厚労省は「職員を増やしているが、対応が追いついていない」としている。

 虐待の内訳は「身体的虐待」が38人(65.5%)で、食べ物を与えないなど
「育児放棄(ネグレクト)」が16人(27.6%)。
主な加害者は「実母」が33人(56.9%)で最も多かった。
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