夏休みの安全 子どもを犯罪から守りたい(7月24日付・読売社説)

YOMIURI ONLINE
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 学校が夏休みに入り、子どもたちが外出する機会が多くなる。
犯罪に巻き込まれることのないよう、改めて安全対策を徹底したい。

 東京都練馬区の区立小学校の校門前で6月末、
下校する小学1年生の男児3人が男にナイフで切り付けられ、けがを負った。
今月中旬には、茨城県龍ヶ崎市の路上で、
小学5年生の女児が男に殴られ、重体となった。

 警察庁の統計では、13歳未満の子どもが被害者となる事例では、
強制わいせつや暴行、傷害など、悪質な犯罪が目立っている。

 子どもが不審者に声をかけられたり、つきまとわれたりしたら、
保護者はすぐに警察へ通報してもらいたい。
警察は捜査に手を尽くすとともに、不審者情報を学校や地域の町内会などに周知し、
警戒を呼びかけることが大切だ。

 学校の安全対策は、2001年に大阪教育大付属池田小学校で起きた
児童殺傷事件を契機に、強化が図られてきた。

 池田小では「安全科」の授業を設け、
道で見知らぬ人から声をかけられた場面などを想定し、
自分がとるべき行動を児童に議論させている。
こうした安全教育を取り入れる学校は増えつつある。

 不審者の侵入を察知するため、多くの小中学校で防犯カメラなどが設置された。

 登下校時に、保護者が子どもに付き添う。
町内会の防犯ボランティアが通学路を巡回する。
地域の様々な取り組みが進んでいる。

 ただ、夏休み中はどうしても、子どもたちを守る活動は手薄になりがちだ。
外遊びのほか、塾や水泳教室の行き帰りといった、
大人の目が届きにくい時間帯は特に注意が必要となる。
外出の際には必ず防犯ブザーを持たせたい。

 危険を回避する上で何より重要なのは、
日頃から子どもたちの防犯意識を高めておくことだ。

 例えば、自宅周辺に、子どもが連れ込まれかねない空き家や、
街灯のない通りなどがないか、親子で確認し、
近づかないようにさせてはどうだろう。

 各地域には、「子ども110番の家」がある。
危険な目に遭った子を一時的に保護し、警察に通報する役目を担っている。
子どもに所在地を教えておけば、いざという時の駆け込み場所になる。

 夜間でも営業しているコンビニエンスストアは、防犯拠点として活用できる。

 子どもたちが夏休みを安全に過ごすには、
家庭や地域が連携して支えていくことが欠かせない。
(2013年7月24日01時22分 読売新聞)
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