企業内保育所 10%超休廃止

NHK NEWS WEB
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企業が、国の助成を受けて社内に設置した保育所の10%余りが、
子どもが集まらないなどの理由で廃止や休止となっていたことが分かりました。
保育所の空きを待っている多くの待機児童がいる一方、
企業内保育所の一部ではミスマッチの状態となっていて、
会計検査院は厚生労働省に対して、利用者数の見込みなどを
事前に厳しくチェックするよう求めています。

厚生労働省では、仕事と子育ての両立支援のため、
企業が社内に保育所を設ける際、設置や運営にかかる費用を助成していて、
平成5年度から23年度にかけて680件、88億円余りを支給しています。
会計検査院が企業内保育所の運営状況を調査したところ、
去年9月末の時点で、51件の施設が廃止、30件の施設が休止となっていたということです。
廃止や休止の理由は、「子どもの数が確保できなかった」が44.4%と最も多く、
次いで、「事業主の経営状態や業績が悪化した」が29.6%などとなっています。
また、運営開始から5年目の子どもの数を調べたところ、確認ができた64施設のうち、
定員を満たしていたのは10施設のみで、
多くの施設が当初見込んでいた数の子どもを確保できていませんでした。
保育所の空きを待っている待機児童の数は、
去年10月の時点で全国でおよそ4万6000人に上る一方、
企業内保育所の一部では子どもが集まらないという
ミスマッチが起きている現状が浮き彫りになりました。
会計検査院は、厚生労働省に対し、保育所が長期に安定して運営されるよう、
助成を申請する企業から、子どもの利用者数見込みの裏付けとなる資料の提出を求めるなど、
事前に厳しくチェックするよう求めています。

専門家保育所運営の課題

企業内保育所の問題に詳しい、
東レ経営研究所の渥美由喜さんは
「企業内保育所は設置段階でばく大なコストがかかるうえ、
運営面でも、子ども1人当たり年間で平均100万円程度の費用がかかるなど
企業にとって財政的な負担が大きい。
また、対象を従業員に限ると、安定的に子どもを確保するのは難しく、
運営に行き詰まるところも少なくない」と指摘しています。
そのうえで、渥美さんは「国は、企業からの助成の申請を厳しくチェックする一方、
財政的な支援策をさらに充実させていく必要がある。
また、企業内保育所を長期的に、安定して運営していくためのノウハウを
企業に伝えるなどソフト面での支援も必要だ」と話しています。
また、渥美さんは、企業に対して、
「企業内保育所を優秀な人材を確保するための投資だと思って、運営していくべきだ。
さらに、働き方の見直しも平行して進めることで
仕事と子育ての両立しやすい環境づくりを進めていくことも重要だ」と話しています。
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