「走って逃げる」危険性伝えて 子どもの防犯

中日新聞
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 夏休みに入り、子どもだけで出歩く機会も増え、子ども狙いの犯罪が心配な時季でもある。
特に気を付けたいのが性犯罪だが、子どもに危険性を伝えるのは難しい。
伝え方や家庭で実践できる防犯策を専門家に聞いた。

 子どもの安全に詳しいセコムIS研究所(東京)の研究員、舟生(ふにゅう)岳夫さんは
「体を触れられるような事案は小学校低学年でも多発している」と警告。
低学年ほど男女関係なく狙われるという。

 「『小さいから』『男の子だから』と安心してはだめ。
水着で隠れる場所は人に見せても、見せられても、触られてもいけないと伝えて」と話す。
そして、悪い大人がいるということを教える。

 犯罪の未然防止は、狙われやすい場所に行かないこと。
NPO法人体験型安全教育支援機構(東京)の代表理事、清永奈穂さんは
「通学路を中心に、図書館など立ち寄りそうなところを親子で歩き、危険性をチェックしてみて」。

 危険な場所は、周りから見えにくい▽人けがない▽街路樹が多く人が隠れやすい所-など。
駐車場や駐輪場なども要注意。
不審者情報にも気を付けよう。
時間的には夕方に被害に遭うケースが多く
「日が長いからと遅くまで外にいるのは危険。
『五時には帰宅』と約束させて」と清永さん。

 子どもを狙う大人の外見に特徴はなく、清永さんによると
「何らかのコミュニケーションを求めて話し掛けてくるのが特徴」という。
最近は困っているそぶりで、親切心を利用する手口が目立つそうだ。
清永さんは親が不審者を演じるシミュレーションを勧める。

 実際の事件では、男が「トイレに行きたいが、足が痛い。手伝って」と
低学年女子に声を掛け、トイレに連れ込んだ例がある。
こういうときは「大人の人を呼んできます」と言って立ち去ろう。

 「ゲーム好き? おじさんたくさん持っているから来る?」「お菓子をあげる」-。
こういった誘いには「いいです」「いりません」ときっぱり断る。
「お母さんがけがをして病院にいる。お母さんに頼まれた。車で行こう」と
不安につけ込むケースもある。
清永さんは「『一度家に帰ります』と断る。
どんな場合でもついていかないと徹底させて」と話す。
それでもしつこく話し掛けてきたら、走って逃げる。
手をつかまれたら大声を出したり、かみついたりする。

 「不審者が追うのをあきらめる二十メートルを全力で走ったり、
大声を出したりする練習を、親子でしてほしい」

 子どもが知らない人に声を掛けられたら、親や先生に伝えさせるようにする。
重大事件の前は加害者が近くをうろついていたなど、前兆があることが多いからだ。
清永さんは「地域の防犯力アップには情報共有も欠かせない」と話した。

 (宮本直子)
◆不審者の特徴 

・何かと話し掛けてくる

・理由もなく近づいてくる

・道の端や車のそばでじっと見つめてくる

・どこまでもついてくる

・じっと待っている
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