腸管出血性大腸菌、保育所で集団感染続出- 厚労省が自治体に注意喚起

CBnews
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 保育施設でO157などの腸管出血性大腸菌感染症の集団発生が相次いでいることから、
厚生労働省が都道府県などの保育担当者に、
注意を促す通知を出していたことが27日までに分かった。
同省によると、6月以降、保育所での集団発生が少なくとも10件発生。
21日付で出した通知で、感染防止の注意点を記載し、
保育所の管理者や職員に対して手洗いの励行や
調理器具を清潔に保つことなどを周知するよう求めた。

■川崎市で園児10人が感染

 「園児が腸管出血性大腸菌感染症(O145)に感染していることを確認した」。
川崎市は今月23日、市内の認可外保育施設に通う園児10人が感染したと発表した。
同市によると、17日に市内の医療機関から
保健所に園児1人がO145に感染しているとの報告があった。

 この園児と接触した可能性のある園児23人に検便を行ったところ、
23日までにこの園児のほかに9人の感染が確認できたという。

 同市は、▽トイレ後や調理前に必ず手洗いをする
▽加熱調理を十分に行う▽調理器具を清潔に保つ-などの感染防止策を提示。
保健所が園児や感染者の家族などへの健康調査を実施するとともに、
保育施設や感染者の自宅への消毒などを指導したとしている。

■今年7月以降、感染者数は高止まり

 腸管出血性大腸菌感染症は、大腸菌が産生した毒素によって
出血を伴う腸炎などを発症する。
O157やO111、O26などに分類され、
感染後3-8日の潜伏期を経て腹痛や水溶性の下痢を起こす。
菌の出すベロ毒素が腎臓の毛細血管内皮細胞を破壊する
HUS(溶血性尿毒症症候群)になった場合、急性腎不全や尿毒症を発症し、
重症化や死亡事例も報告されている。

 国立感染症研究所感染症疫学センターのまとめによると、
8月12-18日の週の患者報告数は前週比17例増の184例。
7月以降、感染者数が高止まりの傾向にある。
厚労省健康局結核感染症課も22日付の事務連絡で、
集団発生の事例を挙げ、自治体の担当者に注意を促している。【新井哉】
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