「スーパー食育スクール」指定で食育推進へ 斎藤剛史

msn産経ニュース
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朝ごはんをきちんと食べる子どもは学力が高いなど
食生活と子どもの関係に関する調査結果が出されたり、
食品偽装問題などで食の安全性への意識が強まったりするなど、
食に対する関心が高まっています。そのような中で文部科学省の有識者会議は、
食育に意欲的に取り組んでいる学校を「スーパー食育スクール」(SSS)に指定したり、
子どもたちが食生活の重要さを学ぶための
「食育の教科書」を作成したりすることなどを求めた中間報告をまとめました。
SSSを通して、地域や家庭にも食育を広げることが狙いの一つです。

健全な食生活は生きるための基本です。
それを実践することができる人間を育てるための「食育」という言葉は、
社会に定着しつつあります。政府も2005(平成17)年に「食育基本法」を制定し、
学校で食育指導などに当たる「栄養教諭」を配置しています。
また、現在の学習指導要領にも家庭科・保健体育・特別活動などで
食育を推進するよう明記されています。
しかし、実際の取り組み状況を見ると、学校や地域によって
食育に対する取り組みの濃淡が大きく、ばらばらに進められているのが実態です。
このため文科省の有識者会議は、
食育に力を入れている小・中学校などを2014(平成26)年度からSSSに指定し、
それを中心に食育を学校教育や社会全体に広げていくことを提言しました。

SSSでは、大学や企業などと連携して、
「食とスポーツ」「食と学力」「食と健康」などのテーマについて、
科学的見地に立って新たな食育プログラムを開発することにしています。
具体的には、地域の生産者と連携した体験活動を核にした食育の推進、
大学や研究機関と連携して小・中学生の生活習慣・身体特性などの
実態調査を通した基礎体力や基礎学力の向上方策などの取り組み、
企業と学校が連携した食育の取り組みなどを研究してもらい、
科学的視点を加味した新しい食育プログラムの開発を行う予定です。

また、学校給食がほとんど実施されていないため
食育への取り組みが少ない全日制などの高校に対しては、
農業科・家庭科・総合学科などの特色を生かした
「スーパー食育ハイスクール」を指定することも検討されています。

一方、文科省は、学校現場で食育の指導をするための
「食生活学習教材」(小・中学校用)を作成しています。
これに対して有識者会議は、
「日本の食糧生産や食への感謝の心など」についても加えた
「食育の教科書」となる児童・生徒用の教材を新たに作成するよう求めたほか、
学校における食育の指導方法や指導内容についても
「次期学習指導要領改訂も視野に入れながら今後も検討を行う」としています。
これから指定されるSSSの研究成果を基に、
子どもたちの食生活と体力や学力の向上の関係を科学的に分析したうえで、
新たな食育への取り組みが次期学習指導要領に盛り込まれることになりそうです。

このほか中間報告では、学校給食への関心を高めるため、
給食メニューを官公庁や企業の食堂に提供する
「給食グルメ」などの取り組みも挙げています。 
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