東京新聞様
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ウイルス性感染症の手足口病、ヘルパンギーナなど、
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ウイルス性感染症の手足口病、ヘルパンギーナなど、
暑い季節にも子どもは病気にかかりやすい。
保育園に子どもを預ける親の強い味方が「病児保育」だが、
施設数は不足しており、自治体による取り組みの差も大きい。 (砂本紅年)
東京のベッドタウンとして子育て世代の多い川崎市。
東京のベッドタウンとして子育て世代の多い川崎市。
同市高津区の「北浜こどもクリニック」に併設された病児保育室では、
子どもたちがすやすやとお昼寝中だった。
この日は風邪や胃腸炎の子がほとんど。
隔離室には水ぼうそうの子がいて、計六人の定員いっぱいだった。
見守るのは、看護師一人と保育士二人。
見守るのは、看護師一人と保育士二人。
布団の下には、呼吸監視モニターがあり、万一の急変時に備える。
隣の診療所には院長の北浜直(ただし)さん(36)が常駐。
風邪で預かった子どもが突然、熱性けいれんを起こしたこともあったが、
母親を呼び戻すことなく対応できた。
三年前に開業した北浜さん。
三年前に開業した北浜さん。
市内には、市の事業で運営されている回復期向けの「病後児保育」が三カ所あるだけで、
症状が激しい急性期の子を預かる「病児保育」がないことを知り、
昨年十月、千五百万円を借り入れて病児保育室を整備した。
保育料は一回二千五百円。
保育料は一回二千五百円。
需要は高く、毎日十~十五人がキャンセル待ちの状態だ。
前日の午後六時にネット上で予約を受け付けるが、数秒で満員になるという。
満員でも収入は一日一万五千円。
満員でも収入は一日一万五千円。
公的補助はなく、人件費や運営費などで、この半年で既に六百万円の赤字に。
北浜さん個人の持ち出しで穴埋めしている。
「このままだと二、三年で私も破産するでしょう。
でも、ここがなくなって一番困るのはお母さんたち」と北浜さん。
六月下旬、一万三千人の署名を添え、補助を求める請願書を市議会に提出した。
六月下旬、一万三千人の署名を添え、補助を求める請願書を市議会に提出した。
ただ、市の担当者は「現在、民間の施設に補助金を出す仕組みがない。
財政難で補助金自体をやめていく方向にある中、
新たに出すという議論はハードルが高い」と話す。
◆取り組み 自治体で差
「病児保育への取り組みは、自治体による差が大きい。
「病児保育への取り組みは、自治体による差が大きい。
人口に比して多くの病児保育所がある自治体もあれば、熱意のない自治体もある」と話すのは、
全国病児保育協議会(東京)会長の稲見誠さん。
稲見さんも世田谷区内で定員十人の病児保育所を運営。
稲見さんも世田谷区内で定員十人の病児保育所を運営。
区内には病後児保育を合わせて八カ所あるが、「足りない」と嘆く。
この日の午後も、予約の電話を受けた保育士が
「明日のキャンセル待ち十七人目になりますが…」と対応。
多くの親が利用をあきらめざるを得ない状況だ。
一方、同協議会の加盟施設のうち74%が赤字運営。
一方、同協議会の加盟施設のうち74%が赤字運営。
国の補助制度は自治体負担もあり、自治体の申請に基づいて交付される。
北浜さんのように、市が補助制度を活用していないケースも多い。
たとえ補助金が出たとしても、基本は満額で年二百四十万円で
たとえ補助金が出たとしても、基本は満額で年二百四十万円で
利用人数により加算される仕組み。
家賃や施設整備に対する補助はほとんどない。
季節により利用人数の変動が大きい上、
看護師や保育士の確保が難しいことも運営を難しくしている。
土地代などが高い東京都には、開設費用に対する都独自の補助制度がある。
土地代などが高い東京都には、開設費用に対する都独自の補助制度がある。
「運営経費についても、国庫補助に上乗せする自治体もある」と稲見さん。
「負担が大きく誰もやろうとしない現状に対し、
各自治体は本気で取り組んでほしい」と話している。
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