福岡県の待機児童のほとんどは福岡都市圏で発生~保育ママ制度のさらなる活用も必要

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 21日、福岡県議会で少子・高齢化社会対策調査特別委員会が開かれ、
福岡県次世代育成支援行動計画(後期計画)2012年度実施状況の説明などが行なわれた。

 後期計画は、子どもが健やかに育つ社会づくり、
子育てを地域全体で支え応援する社会づくりを一層進めるため、
次世代育成支援対策推進法に基づいてつくられた2010年度から14年度までの5カ年計画。
 保育所関係では、表のように、計画終了時(14年度)の目標数値が設けられているが、
保育所の利用児童数や延長保育の拡大については、3年間で目標を達成している。
パートタイム就労などのための「特定保育」や夜間保育の拡大についても、
目標達成まであと一歩まで迫っているが、
休日保育や病時児・病後児保育の拡大については、伸び悩んでいる。

 福岡県福祉労働部子育て支援課によると、
保育所数は、グラフのように特に福岡市において伸びており、
福岡都市圏の保育所などの定員(保育ママを含む)も
10年度の1,144人から13年度は1,925人と大幅に増えている。
ところが、不況を背景に新たに働きに出る母親が増えており、
潜在的な入所希望者も多いことから、福岡市を中心とする福岡都市圏では
大幅な定員増を図ってもなかなか待機児童が減らないような状況となっているという。
その結果、13年4月1日現在の県の待機児童1,055人のほとんど1,023人は
福岡都市圏で発生している(12年度は1,174人中福岡都市圏が1,137人)。

 13年4月1日現在の福岡市の待機児童数は、前年比198人減の695人だが、
政令指定都市のなかでは最多。
福岡市以外の都市圏自治体の待機児童も多い。
今後ますます少子化が進むことを考えると、ハコモノをつくるのではなく、
空き家を利用した保育ママ制度の活用など、
保育需要の増減に柔軟に対応できるやり方を検討したほうがよいのではないだろうか。

 保育ママ制度とは、保育士や保育経験者が自宅などで
おおむね3歳未満の乳幼児を預かる制度で、正式名称を「家庭的保育事業」という。
近年、待機児童解消のために国も力を入れており、
厚労省は、12年度に1万人だった保育ママによる保育の対象児童を
13年度は1万3,000人に増やす予定。
複数の保育ママが空き家などを使って保育を行なうことなども推奨されていて、
公務員宿舎の空き部屋や跡地を利用するよう、
財務省理財局が待機児童の多い自治体に呼びかけも行なっている。
福岡市にも財務省から打診があったことを県の子育て支援課は確認している。

 多くの自治体では、保育士免許を有する者しか保育ママにしないという運用をしているが、
東京都のように待機児童を減らすため、資格のない保育経験者に研修を行ない、
資格取得を支援しつつ、保育にあたらせている自治体もある。

 福岡県は、保育資格を持ちながら保育の場を離れている
有資格者の再就職を促進するため、
コーディネーターを配置して保育士専門の無料の職業紹介を実施し、
勤務時間などの雇用条件をきめ細やかに調整する「保育士就職支援強化事業」や、
資格を持たずに保育ママとしてなど認可外保育施設に勤務している保育従事者が
資格を取得するのに必要な受講料などを助成する
「認可外保育施設保育士資格取得支援事業」を13年度から新たに実施している。

 13年度の福岡市の保育ママの定員は140人だが、
福岡市以外の都市圏自治体では保育ママ制度は利用されていない。
東京都では12年4月時点で739人の保育ママが約1,900人の乳幼児を保育している。
福岡市を始めとする福岡都市圏自治体は、
東京都のように保育ママ制度をうまく活用することによって、
待機児童の大半を占める2歳以下の子が保育を受けられるように、
親が安心して仕事ができるようにすることも可能なのではないだろうか。
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