男社会の警察変わるか 「ママポリス」拡充へ育児支援強化 警察庁

msn産経ニュース
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 典型的な男社会とされてきた警察で、女性の活躍の場を拡大させる計画が進められている。
警察庁は結婚後も女性が働き続けられるよう環境整備を進め、
平成35年までに女性警察官の割合を約10%に引き上げる方針。
今月20日には岩手県警に全国初の女性本部長を起用しており、
警察庁幹部は「最も保守的な男社会の警察組織が変われば社会全体も変わる」と
“ママポリス”の活躍に期待する。果たして警察は、女性の力を生かす組織に変われるか-。



 ◆結婚・出産で退職

 「仕事に自信を持って取り組めるようになってきたころに、
結婚や出産、育児のために辞めてしまうのはもったいない」。
女性警察官の採用や登用の拡大などの仕事も兼務する
警察庁犯罪被害者支援室の滝沢依子室長(44)は、
早期に退職していく女性警察官について「残念だ」と話す。

 採用された後の新人警察官は警察学校で各種法令などを学ぶほか、
逮捕術など多くの訓練を受ける。
警察庁幹部は「一人前になったところで出産などで退職では、
本人、警察の双方にとって損失だ」と指摘する。

 警察庁によると、女性警察官は毎年度400人以上が退職しているが、
23年度は20代後半から30代前半が約4割を占めていた。
30歳代では理由として、36・4%が「出産・育児」と回答している。

 滝沢室長も出産、育児を経て仕事を続けてきた女性警察官の一人。
4年にキャリア職として警察庁に採用され6年に同期入庁の男性(44)と結婚。
12年に長女が生まれ、現在は中学1年になった。

 「出産をきっかけに両親と2世帯住宅を建てて同居したため、
育児の面では親のバックアップがあり恵まれていた」と振り返る。
それでも「子供がかぜをひいた場合などは職場にいても心配で仕方なかった。
夫が東京勤務で自分が地方に単身赴任ということもあり、
子供には寂しい思いをさせたこともあった」というが、
家族の協力もあり乗り切ってきたという。

 警察庁幹部も「育児が大変な数年間をがんばってくれれば、
その後も働き続けてくれる」と強調する。

 ◆女性の割合10%に

 24年度の全国の警察官は約25万6千人で、
女性は約6・8%の約1万7千人にすぎない。
警察庁は職場での保育環境の確保、育児休業取得者への支援強化など
女性が働きやすい環境を整備、35年までに女性を約10%に引き上げる。

 しかし、全国に6千カ所以上ある交番のうち女性専用のトイレがあるのは
約1200カ所にとどまるほか、女性用宿直施設のない警察署も多い。
勤務制度以前の設備面の問題点など解決すべき課題は多い。

 警察庁が昨年10~12月、全国の女性警察官や
職員約3万人にアンケートしたところ、約8割が女性の採用拡大を求めた。
理由として「女性の事件関係者が増加」(25・7%)
▽「女性が増えることで女性の環境が改善する」(22・5%)
▽「国民のニーズに応える意思決定に女性の視点が必要」(20・3%)など。

 近年はストーカーやドメスティックバイオレンス(DV)などで
女性が被害者となる相談件数が急増していることもあり、
女性警察官が必要な分野としてはストーカーなどを取り扱う
生活安全部門との回答が7割以上となった。

 警察庁幹部は「育児などの事情がある中で、
『自分の可能性が狭まるため人事などの配慮は必要ない。
男性と同様に扱ってほしい』という前向きな意見を述べる女性警察官もいる。
こうした人たちのためにも、より働きやすい職場環境を整えたい」と話している。
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