東京の子ども「運動感覚」鍛える…公立の幼小中高導入へ

YOMIURI ONLINE
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 簡単な動きを通して運動能力を高める「コオーディネーショントレーニング(COT)」が、
東京都内の幼稚園から高校までの全公立園・校に段階的に導入される計画が決まった。

 都内の中高生の運動能力は全国水準より低く、
基礎体力などを向上させる方法として期待されている。

 「寝返りをして、立ってください」。
9月以降、導入予定の国分寺市立第九小学校で、
NPO法人「JACOT」(江戸川区)の講師が、教員らにCOTの動きを教えた。
赤ちゃんが骨盤を回転させて体の軸をねじる動きを取り入れたもので、
ほかにもハイハイのように床をはう「クローリング」などの動きを指導。
酒井原美保校長は「動きが難しくない。子どもたちも楽しみながらできるのでは」と話した。

 COTは、徳島大学の荒木秀夫教授が考案。
一般的に、運動は体の各部位の筋力や瞬発力、持久力など、
様々な能力を組み合わすことで成り立つ。
COTは、体操やボールなどを使った簡単な動きをこなし、
必要な能力の組み合わせ(コオーディネーション)を、
脳や体が瞬時に判断できるようにするトレーニングだ。
北海道羅臼町立羅臼小で昨年、2~4年生105人に実践させると、
パイプに乗ってバランスを取るテストなどで平均値が向上した。

 握力や上体起こしなど9種目の全国調査(2011年度)で、
都内の小学校は、テスト項目の半数で全国平均と同程度か、
平均以上だったが、中学・高校では、全ての項目が平均以下。
結果を踏まえ、都は2月、COTを段階的に全校で導入する計画を発表した。
今年度、国分寺市立第九小など10校で試験的に実施する。

 都教委の担当者は「従来の体育の授業は、
持久走など特定の種目に取り組むものが主だが、
COTは『運動感覚』を鍛える発想。
授業の質を高めるのに有効と考えられる」としている。

 同NPO法人の菅野美津枝事務局長は、
「体力テスト値の向上や勝負の結果だけでなく、
動くことの楽しさを子どもたちに感じてほしい」と意気込んでいる。
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