「孫旅」人気 シニア世代の豊富な知識、経験を子供に

msn産経ニュース
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 親子3世代、あるいは祖父母と孫で出掛ける「孫旅」が人気だ。
シニア世代の豊富な知識や経験から孫世代が学ぶことは多く、
祖父母や親にとっても孫の成長を実感できる機会になる。

 埼玉県川口市に住む石田正邦さん(66)は今夏、家族5人で長野県白馬村に出掛け、
小学1年の孫と清流で川遊びを楽しんだ。
生き物に興味津々の孫はオタマジャクシを見つけて喜び、
「孫が喜ぶ姿が見られるのは幸せ。これからもできる範囲で、
彼らに良い環境を与えてあげたいし、本物に触れさせたい」と石田さんは言う。

 夏休みは旅行以外でも、共働きの両親に代わり、孫と自宅周辺を探検した。
「自転車に乗れるようになって行動範囲が広がった。
以前は触れなかったセミを捕まえたり、魚を捕まえたり。
成長を感じた」と石田さんは目を細める。

 ◆社会性を身に付ける

 孫と祖父母、または3世代での旅行は、それぞれにメリットが大きい。
旅行ジャーナリストの村田和子さんは「親と別々に過ごすことで子供は成長する」と話す。

 旅は非日常の時間と空間を楽しむもの。
しかし、「親との旅行では場所は違っても人間関係は変わらない。
祖父母という身近だが、少し遠い存在と非日常を過ごすことで
子供は社会性を身に付けることができる。
知識の引き出しも親とは違い、学びの機会になる」(村田さん)。

 祖父母にとっては孫の成長を眺めることができ、
両親にとってはつかの間、育児から離れ、
自身の時間を持つことで気持ちに余裕が生まれる。

 最初は観光地を巡るより、1カ所でさまざまに遊べる滞在型のリゾートがおすすめ。
子供だけに合わせず、温泉など祖父母も楽しめる要素があるといい。
村田さんは「お互いにストレスがかかり過ぎないよう、
キッズクラブや子供向けのプログラムがあるコースなどを選んで、
わずかでもいいのでそれぞれが楽しめる時間を作って」と話す。

 ◆安全には配慮を

 子供が幼いうちは、祖父母とはいえ、親抜きでの遠出は心配という人もいるだろう。
村田さんは「同居か別居かといった普段の距離によって違うが、
言葉でコミュニケーションが取れる4、5歳くらいからなら大丈夫では」。

 気をつけたいのがアレルギーなど子供の安全に直結する問題だ。
村田さんは「おじいちゃん、おばあちゃんは育児の先輩ですが、
その常識も時代とともに変わってきている。
『特別気をつけることはある?』と聞いてあげると、パパやママも伝えやすい。
親も『これだけは守って』ということを絞って伝えて、
おじいちゃん、おばあちゃんに任せてみて」とアドバイスしている。(戸谷真美)

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 ■今夏は「3世代」ツアーが盛況

 団塊の世代が「第二の人生」に入り、時間的、経済的な余裕が生まれ、ツアーも活況だ。

 プリンスホテル(東京都豊島区)では、
全国の同ホテルで「孫旅プラン」(http://www.princehotels.co.jp/mago/)を設定。

 秋は、「二宮金次郎のふる里で『稲刈り体験プラン』」(プリンスグランドリゾート箱根=神奈川県)
▽「キッズゴルファー応援宿泊パック」(嬬恋プリンスホテル=群馬県)-など多彩で、
「2学期制で10月に秋休みがある小中学校も増え、
出足は好調」(同社マーケティング部)という。

 近畿日本ツーリスト(千代田区)の沖縄ツアー「ファミリゾート」は、
6、7人で2部屋利用でも4人1室の代金で泊まれる施設や5000円分のガソリン券などの
特典付き。温暖な沖縄はシニア層にも秋の旅行先として人気という。

 同社は今夏「3世代」とパンフレットにうたった商品を初めて販売。
夏は沖縄やグアムのほか、北海道や長野県など、避暑地へのツアーが盛況だったという。
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